反転する世界――「クジラの子らは砂上に歌う」4話感想
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清川元夢の老人演技が真に迫ってて怖い。
クジラの子らは砂上に歌う 第4話「泥クジラと共に砂に召されるのだよ」
© 梅田阿比(月刊ミステリーボニータ)/「クジラの子らは砂上に歌う」製作委員会



タイシャの死により、新たな首長へ任命されたスオウ。しかし彼に下されたのは「泥クジラと共に沈む」よう皆に指示することで……? 無残に殺されるのは耐えられないから皆で穏やかに死のう、という長老会の論理にはある種の反転がありますが、今回はお話全体が反転で形作られていたように思います。
虐殺される謂れは無いというスオウの認識は泥クジラの人々は罪人の子孫であるという話によって覆され、それに従おうとしない彼は首長から拘束対象に変わる。サミを守れなかったと嘆くチャクロは、ギンシュの見方でならトビの弟達を助けた功労者になる。最も高齢であろう最長老は己を失くして幼児と化し、最も幼いネリは何かに憑依されたのか、まるで百年の昔から生きている賢者のように振る舞う。「本国」が去った後も、泥クジラの者達はもはやかつてのままではいられません。長老会にもっとも忠実だったスオウが彼らに逆らい、もっとも反抗的だったオウニが同意しているに等しいのは二重の意味で対照的でした。
主人公たるチャクロの前に現れるのもまた反転で、彼はまるで生き返ったかのような――つまり死が反転したようなサミやタイシャとの対話によって死への諦観を思いとどまり、そこから逆に泥クジラの皆が生きるための方策を探すようになっていきます。そこで泥クジラを守るための自警団が逆に敵になるという反転に対して、前もって接点を作っておいたギンシュを再反転させるのは彼女の印象付けとしても面白いものでした。文字は読めなくとも理由は知らなくても、チャクロが何を書いているかや彼が困っていることは分かる。感覚に従って動くギンシュって、自分の中のものを書いて言葉にせずにおられないチャクロを反転させたみたいですね。あとおねショタ最高。
泥クジラの深奥にあるもの、チャクロが知らないはずのものは、反転してもう知っているもの――ヌースであることが明らかになる。何もできないと思っている彼がこれから何を成してゆくか。次週を待ちたいと思います。
関連:
クジラの子らは砂上に歌う 感想リスト
クジラの子らは砂上に歌う 第1話「私たちの大事な世界の全てだった」
クジラの子らは砂上に歌う 第2話「鯨(ファレナ)の罪人たち」
クジラの子らは砂上に歌う 第3話「こんな世界は、もうどうでもいい」

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