翻すことで見える輝き――「このはな綺譚」5話感想
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視聴中、機織りの少女は織姫だったりして……なんて予想もしてみましたが見事に外れ。
>拍手返信:雪光さん(このはな綺譚 4話感想)
>何を以て幸せとするのか。それは周りが決めることではなくその人自身が決めることで。前半の夢の解釈と後半パートの結びつけもさることながら、我々感想書きの解釈にまで繋げて捉える感想が爽快でした。自分もこの回は凄くお気に入りのエピソードの一つになりました。ともすれば寂しさを感じそうな内容ながら、それを感じさせない視聴後の爽やかさ。今回はもうそれが全てを物語っていたのかもしれません。
とてもとても不思議なバランスで成り立っていた回でしたよね。本作自体が僕達とは違う現実の中にあるが故に様々なもの……というか僕達の想像するステップをゆうゆうと飛び越えてくれて、そしてそれが違和感ではなく感動を生むというのはとても素敵な物語運びだったと思います。自分の中で「解釈」について色々見つめ直す良い楔にもなってくれたのではないかと。
>拍手返信:と~しきさん(同上)
>Aパートの子供が出来た的なやり取りにクスッとしていたのですが、言われてみれば「見える世界こそ」っていう4話を通して描かれたテーマが活きてたんですねー。皆まで語らずともそれぞれの解釈で進んで行く、そんなお話だったんだろうと思いました。
2人とも頭のネジ外れてんじゃないかというやりとりなのに不思議な納得感がある、僕らの頭のネジを外してしまう始まりでしたw そして本編はおっしゃるように、あえて多くを語らないことで僕らに味わいを感じさせる内容であったなとも思います。
このはな綺譚 第5話「梅雨送りし」
©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会



此花亭に持ち込まれた、夜な夜な動き出す1体の日本人形。驚かす側のはずの彼女がここで見るのは……? 4話の後半が人形を娘の代わりにする老婆の話で終わり、この5話は意思を持つ人形から話が始まったわけですが、そんな風に今回はこれまでのお話を「逆回転」させて柚の成長を感じさせるお話だったように思います。
お菊は呪いの人形として供養に出されたわけですが、人形供養とは単に人形を捨てることに畏れを感じるからすることであり、供養に出された人形はつまり「死」を迎えることになる――前回はおそらく臨終を迎えようとする老婆の心が浄化されるものでしたが、今回はお菊がそれをされているのでしょう。ガラスの瞳や陶器の肌を嫌悪感を持って「解釈」されていた人形が、名前をつけてもらって、遊んで(遊ばれて)、新しく着物を仕立ててもらうことで単なる呪いの人形から1個のキャラクターへと生まれ変わる。その姿には、前回「神様の子」のまま逝った志乃が着物と共に成長し人間性を獲得していった様と多分に重なるものがあります。そして既に夢の世界へその身を浸していた老婆と異なり、自らを呪いの人形として固着させてしまっているお菊には前回と同様の瓜乃介による悪夢の忘却が欠かせない。
後半はお菊が此花亭の新入りとなるところから始まりますが、この辺りは女将のアップや桐の煽り調子など1話の再演が多々見られ、またお菊が新入りである以上は柚はその位置にはいません。今の彼女は立派な此花亭の仲居の1人であり、既に人に物を教えられる程に成長している。それは皐と同じように姉との差に悩む機織りの少女に、より直接的な助言をしたところからも見て取れるように感じました。少女の言葉を聞いて皐を思い浮かべた柚は明確に2人を重ねてみているのであり、比丘尼が言うように人(皐)の心に学んだからこそできたことです。そしてそんな柚の言葉に少女は昔を思い出して――自分の思いを翻してみることで、柔らかさを取り戻す。
そんな柚もまだけして完成形というわけではなく、薬屋の店主が「行ってみなけりゃ分からない」と語ったように見てみなければ分からないことはたくさんあります。少女が織っていた反物が虹であるなんて、それこそ見てみなければ分からなかったこと。まだまだ柚は色んなことを学んでいくのだろうなと、彼女の笑顔に喜ばしい気持ちになった回でした。さてさて、新たなメンバーも加えて更に賑やかになった此花亭、次回はどんな話を見せてくれるのでしょうね。……え、怪談?
関連:
このはな綺譚 感想リスト
このはな綺譚 第1話「さくやこのはな」
このはな綺譚 第2話「春の旅路」
このはな綺譚 第3話「恋待ち焦がれ」
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