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金が血の、信用が命の代わりとなる意味――「貧民、聖櫃、大富豪」1巻感想

貧民、聖櫃、大富豪 1 (サンデーGXコミックス)


 高橋慶太郎の「貧民、聖櫃、大富豪」1巻を読了。聖櫃(アーク)に選ばれた人間(あるじ)が、御使いである過去の偉人達と共に戦う……というとコテコテですが、そこはこの作者ゆえ焼き直しにはなりません。この戦いでは攻撃にも回復にも「金」がいるからです。あるじも御使いも傷を負っても死ぬことはなく、ただ相応の金を失うのみ。ある意味で緊張感のない戦いではありますが、最初の戦いで主人公の聖夜は涙を流すことになります。なぜなら彼女が使ってしまったのは、母が自分の将来のために秘密で積み立ててくれたお金であったから。
 また、御使いは先述したように怪我を負えば金を消費して傷を治しますが、金がなくなり負債があっても御使いが死ぬことはありません。彼らが死ぬのはあるじからの「信用」を失った時。あるじが御使いを信じられなくなった時、御使いは死ぬ。人が死なずとも金を失うことで痛みや悲しみは生まれるし、また斬られても焼かれても死なない存在となったはずの御使いは別の要因でたちまち消える。「お金とは。信用とは。考えれば考えるほど フワフワとあいまいな哲学的な価値で、そういうところも大好きです」とは作者のまえがきですが、この作品は「金」と「信用」に独自のルールを付加することでそのあいまいな価値を炙り出そうとしているのかな……と感じます。金がなければ戦うことができず、信用がなければ存在できない。金とは「血」であり、信用とは「尊厳」であると言い換えてもよいのかもしれません。

 数人による争奪戦や御使いが過去の偉人であるというコテコテな部分は登場人物の理解が速くさっくり終了、偉人達は日本人には比較的馴染みの薄い面々で主人公の相方のアウレリアに至っては本作のために創作された架空の偉人であったりと、ドリームマッチ的な側面はさほど重視されているわけではなさそう。金稼ぎと異能力バトルという欲張りな両輪をどんなバランスで展開していくのか、17日に発売される2巻が楽しみです。

関連:
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