誰かの花になって、私は私になる――「このはな綺譚」6話感想
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まるで作者みたいなキャラが……と思ったら中の人がご本人という。武装錬金のアニメの和月野ブヒ朗みたいなw
拍手返信:と~しきさん(このはな綺麗 5話感想)
>女将とお菊ちゃんのやり取り、たしかに1話を彷彿とさせられるものがありましたね。過去回を思い出すといえば、お菊にお説教をしている蓮ちゃんに3話で見られた女子力の高さが思い浮かびました。
3話の蓮の恋する乙女ゆえの美への努力があればこそ、納得のお説教でしたね。あと底の部分の面倒見の良さも。彼女も1話から随分印象が変わったなと思います。
>拍手返信:雪光さん(同上)
>新しいキャラ造形として生まれ変わるお菊ちゃん、以前とは異なる立ち位置に納まる柚、昔を顧みて柔らかさを取り戻し少女。こうして見ると今回もあらゆる事象は巡り巡って回っていることを感じられるのです。万物は流転するということを感じさせる回だったのだなぁと感想を読んで思い至った次第です。例え難産でも読み応えある感想。本当に今回はお疲れ様でした!
お気遣いありがとうございます、5話は3話の要素をどこに見出したらいいのか……というのに1番苦労しましたので、逆「回転」という解釈ができてホッとしましたw 季節が流転するのに相応しい、これまでを強く感じさせる回であったと思います。
このはな綺譚 第6話「此花亭怪談」
©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会



夜中に怪談話をしていた柚達。女将に止められるが直後に宿中の灯りが消え……?
6話は怪談と銘打ちオチでその体裁は保ちつつ、いつものように中身は心温まるお話。今回は柚と比丘尼の馴れ初めが描かれていましたが、比丘尼が最初に出会った柚は今の彼女とは大きく違う存在でした。言葉を解さず何が手伝いになるかも理解できず、他人に悪態もつく。比丘尼に名前を付けられ物事を教わり、自分が比丘尼にとっての花だと言われることで彼女は「柚になった」――それは今回のゲストである幽霊少女が自ら顔を失い「自分でなくなった」姿と対照的です。誰かに愛されたいと姿(表面)を変え続ける彼女の姿は、与平の言葉をそのまま(表面通り)にしか受け取れなかった幼い日の柚と同じものなのでしょう。
3話を始めとして後光の差すような柚の優しさはけして天性ではなく、他者に磨かれたことで生まれたもの。その過去を示すことで、柚の美質は説得力を持って発揮されます。皐が怯える姿を見て、何が怖いのかどうかではなく皐もまた普通の少女なのだというように理解する。他の人なら騙されるかいぶかしむ幽霊少女の变化を、本人ではないことに気付きつつもお化け自身の表情を見て信用する。幽霊少女が渡ろうとしているのが三途の川だとは知らずとも、その向こうに一緒に留まろうとまではしない。今回の彼女は表面的なことには無知でありながら、その本質だけはいつもガッチリと掴んでいるのです。
かつて比丘尼は、柚が自分にとっての花なのだと話しました。彼女の薫陶を受けた柚にとってのそれは「たくさん」。比丘尼も寺の客人も、此花亭の皆もそのお客も、全てが彼女に学びを与えてくれる。今回出会った幽霊少女もまた、その1人。誰かにとっての花になることがその人をその人たらしめるのなら、自分でなくなってしまった幽霊少女もまた、柚にとっての花になったからこそ元の姿を取り戻すことができたのでしょう。作者自らが「ごちそうさまです」と言うような前半から柚の過去、そしてそれが安寧をもたらす後半と、今回も一色に染まらないにも関わらず統一感を失わないお話が素敵でした。
関連:
このはな綺譚 感想リスト
このはな綺譚 第1話「さくやこのはな」
このはな綺譚 第2話「春の旅路」
このはな綺譚 第3話「恋待ち焦がれ」
このはな綺譚 第4話「夢の浮き橋」
このはな綺譚 第5話「梅雨送りし」

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