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代わりにはなれなくても――「ディメンション W」11巻感想

ディメンション W(11) (ヤングガンガンコミックススーパー)

 岩原裕二の「ディメンション W」11巻を読了。アニメ終了後すっかり詰んでしまってましたが、ようやく手を付けることができました。
 今回はイースター島で死んだルーザーの「娘」エリーがルーザーと出会った時の話から始まり、彼女が大きく話に絡んできますが、内容としては「代替」というのが大切だったように思います。

 漁船に拾われたルーザーは手足が壊死しており、義肢という代替品を付けなければ生きていけません。また船中の手術は人手が足らず、密航したエリーを助手の代わりとすることで成功します。そして、どこかの訓練施設を脱走してきたエリーには名前もなく、父と呼ぶルーザーにエリーの名前をもらった。こうした2人が家族の「代替」として互いを選んだことは必然だったように思います。そしてルーザーが死んだことで、彼女にはまた欠損が生じている。
 誰もルーザーの代わりにはなれないからとエリーは1人を選びまた1人でやっていけると証明しようとしますが、紆余曲折あって彼女がとる手段が「ミラの救出をキョーマと取引すること」なのはとても興味深いところです。だってそれは、ミラをさらわれたキョーマのパートナーの「代替」をエリーが務めるということなのですからね。正面切って手を取り合うような形ではありませんが、今回描かれる騒動では確かにその萌芽が覗いている。

 キョーマが我を曲げてまでミラを救出しようとするように、かけがえの無いものは確かに存在する。ですがそれは、欠損を他のものが埋めることができないという意味ではない――だってそもそも、ルーザーとエリーの関係は、互いが互いを家族の代替としたからこそ生まれたものなのですから。
 さて、自らの体を機械で代替するサイボーグ達との戦いは。停められたジェネシスの開発を、妻への助言という形で何か代替しようとした士堂博士の目的とは。既刊の残り2冊を読むのが楽しみです。

関連:
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