金は力であって全てではない――「貧民、聖櫃、大富豪」2巻感想

高橋慶太郎の「貧民、聖櫃、大富豪」2巻を読了。この2巻で7組の「あるじ」と「御使い」が揃いましたが、後から出てきた面々ほど「あるじ」が金持ちになり、物語がスケールアップしていく感が楽しいなと思います。財務省の大物役人の安倍野晴→世界最大の医療グループを運営する貴族のヒュー・ペンドルトン・ランディー→フランス内ミニ国家(金融大国)の女王アンヌマリー=リシャーヌ=フランソワ=ダキテーヌ……とどんどん金持ちの桁が違ってくる……最初の自称「ただの役人」の安倍野晴も安倍晴明の末裔っぽいし舞台の横浜を経済戦争の場に作り変えた張本人だし。彼らは三者三様にもともと聖櫃との関わりもあったようで、まだ小さな企業を経営するに過ぎない聖夜とは正に天と地ほどの差があります。彼女があれこれ金策して手に入れた1億と同額を躊躇なく攻撃に回しなおあまりある晴の資産は、フリーザ様の「私の戦闘力は53万です」よろしく圧倒的な強さを見せつける。
けれど戦い方も勝ち方も単純に所持金の多寡だけが決めるわけではなく、あるじの1人である那由多はせこせこ働いて金を稼ぐなんて面倒だと思っているし、それ故に優秀なプログラマーである那由多を働かせて(企業買収して)金を得るつもりだった晴の目論見は那由多が「会社の運営を聖夜に任せちゃう」ことで台無しになってしまう。戦力的には象とアリほどの違いがあっても、「IT企業争奪戦」を制したのは晴の言うように聖夜の方でした。損にはならないはずの取引をヒューに持ちかけられたフワが「金はまた稼げばいいが負け犬になるのは嫌」と断固拒否したり、聖夜にとってグレートウェルスで手に入れる富よりも副賞のアウレリアの転生の方が大事だったりとするように、「金」は本作に必要不可欠な血ではあってもそれが全てというわけではないのでしょう。もう1つのキーワードである「信用」も大きく動いており、聖夜は祢津や那由多、そして晴から確かにそれを獲得しつつあるのです。あ、親友であるフワからの「信用」はもうオーバーフロー状態ですねどんだけ聖夜好きなのこの娘。
とはいえやっぱり、現状では金銭的に聖夜は1番の弱小勢力なのも違いありません。雲の上で繰り広げられるようなマネーゲームに彼女がどのようにくらいついていくのか、続刊が待ち遠しいです。
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とはいえやっぱり、現状では金銭的に聖夜は1番の弱小勢力なのも違いありません。雲の上で繰り広げられるようなマネーゲームに彼女がどのようにくらいついていくのか、続刊が待ち遠しいです。
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