ゴジラと言う「現実」に立ち向かえ――「GODZILLA 怪獣惑星」感想

GODZILLA 怪獣惑星
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「GODZILLA 怪獣惑星」を視聴。原初のゴジラとは行き過ぎた科学文明への警鐘だったと聞く。本作におけるゴジラとは「現実の象徴」なのではないかと思う。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
本作の前史における最初の怪獣はゴジラではない。カマキラスやらヘドラやらアンギラスやらであり、多くの犠牲を払いながらも人類は敢然と立ち向かいそれらに打ち勝った。そこでは人類vs怪獣、希望と絶望の対峙がある。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
後に怪獣が3体同時に出現したなどというのは、たぶん往年のファンならその暴れぶりを映像化しろと言いたくなる「夢」のシチュエーションだろう。だがそれは実現しない。それらを全てゴジラが打ち倒してしまったからだ。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
これまでの怪獣と比較にならない強さのゴジラによってパワーバランスは崩壊し、宇宙人と共闘してすら人類はロマンもへったくれもなく蹂躙されるだけの存在と化す――私達が「現実」の前に無力であるように。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
居住可能な惑星を求めて旅立った残存人類もまた、希望の見えない長い旅に疲れていく。病む者、自ら死を選ぶ者、移民と称して姥捨て山のように老人を捨てようとする中央委員会――多くの人々が絶望的な現実に屈していく。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
そんな中、主人公のハルオは屈しようとしない。サカキ大尉という役職ではなくハルオという個人が屈しない。老人を見捨てられない優しさも、過去の情報を元にゴジラを倒す方法の検討を続ける執念も、現実に抗うその姿勢が生み出すものだ。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
彼にとってのゴジラとはただの巨大動物ではない。誇りや優しさを奪い、人間を人間ではなくしてしまう存在――概念としての敵だ。ゴジラという現実に背を向けている限り人は前を向けない。ただ心臓が動いているだけの存在になってしまう。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
夢や希望で絶望的な現実と対峙するために必要なのは楽観論ではなく緻密な分析であり、それはハルオの立案した作戦が論文と呼ばれるレベルのものであることによって証明される。パンフに折込文書でぴっちり書かれるレベルのそれは、夢や希望を手元へ手繰り寄せる力となる。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
そして彼の姿勢は作戦に参加する人々を感化してゆく。野心に燃えながらもゴジラという現実に屈しようとしたリーランドが、逃亡するつもりの戦車で逆にゴジラの弱点を見破って逝った姿などは象徴的。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
トラブルはもちろんありつつも、ハルオの作戦は作戦の遂行に成功しゴジラは撃破される。人類は絶望的な現実に打ち勝った!と思ったか?馬鹿め現実も絶望もそんな甘くねえんだよ!と現れる「本物」は全てをぶち壊す。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
老人を見捨てられなかったハルオをして「みんな手段を選ばず(他人を見捨ててでも)逃げろ!」と言わせてしまう圧倒的な絶望。どうしようもない現実。シリーズ1作目において我々は、本作前史で人類が味わったそれを擬似的に体験する。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
人類が叡智を結集して倒した困難を更に上回るゴジラという現実。本作は正に序章であり、ここからもう一度立ち上がってこそなのだろう。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
とはいえ、ハルオの立てた作戦や乏しい物資での戦いの緻密さで逆に今回戦うゴジラが小さく見えた印象も正直ある。トラブルはもちろんあるのだが全体として戦いが上手く行き過ぎていて、ゴジラ撃破をぬか喜びさせてくれないのだ。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
「これで終わるゴジラじゃないだろ?」と思ってしまったし、実際そうだった。とはいえ、じゃあこのラストからどうやって立ち向かえって言うんだと問われれば、頭を抱えてしまうレベルで本作のゴジラは脅威なんだけど……#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
本作、人物配置がとても魅力的で、ゴジラとの戦いを諦めようとしないハルオが夢想家ではなく、更にそれをマーティンやメトフィエスが「歩むべき現実」へと接合しているので、作品の足取りはすこぶるしっかりしている。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
ついでに言えば、本作の人類は異星人と共に地球を脱出しておよそ20年をさまよった設定になっている。それが希望ではなく絶望へ至る道筋であった事を、グローバル化を交えた日本の「失われた20年」とオーバーラップさせて思案を巡らせるのも、けして無駄なことではないのではないだろうか。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
時間差で2万年経過した地球が化石として人類文明の名残を残していた姿を見た時、僕はハルオと同じく涙しそうになった。まるで昔の子供向け冊子の「夢の未来図」を祖父母の家で見つけたような気になった。まあ僕もあれをリアルタイムで見たわけじゃないけども……#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
ハルオは地球を知っているから涙できるが、ユウコは地球を知らないから戸惑う。ユウコの姿はなんだか「今の若者は希望が持てない」という話を映像で見せられたように思えた。親になれた人達は、2人の姿を見てどんな風に感じるのだろうか。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日
そういうわけで、興奮度はハードルを越えてくれなかったけど色々と感慨にふけってしまう作品でした。半年後の続きを待ちたいと思います。#アニゴジ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年11月18日

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