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無自覚の変化――「ディメンションW」12巻感想

ディメンション W(12) (ヤングガンガンコミックススーパー)

 岩原裕二の「ディメンションW」12巻を読了。快調な新シリーズの今回は「知らない内の変化」が多く見られる巻でした。
 冒頭で語られるのはニュー・テスラ・エナジーのCOOの1人エドワルドの死であり、それは回収屋の連続殺害事件よりもむしろ先に起きていた――つまり他のCOO達が「知らない内に」起きていた事が明かされます。そして会議に殺害の犯人であるドレイクが「知らない内に」潜入しておりCOO達は焦りを隠せない。キョーマ達もまた、周囲には秘密にしていたミラの出自がドレイクの組織・シンジケートに把握されていた事に動揺する。

 もっとも大きな「知らない内の変化」は既に世界の1/3が虚無に落ちているということであり、コイルによる繁栄を当たり前のように享受している人々は、世界がゆっくりと滅びに向かっていることを知りもしません。そしてもし知れば、人々の動揺はエドワルド関連のCOO達の驚きの比ではないでしょう。

 その世界の終焉を止めるためにキョーマ達は動き出しますが、ミラもまた、自分の体に「知らない内の変化」が起きていることを知ります。気付かぬ内に胸に埋め込まれていた二重コイルは彼女の体にイメージに応じて変化していく特質を与え、人間が細胞1つ1つの変化を自覚できないように彼女もまたその変化を知覚できない。何より二重コイルとミラが作られた目的は今の彼女にとって「知らないこと」であり、自覚しない内に目覚めていく力はひょっとして恐ろしい兵器としてのものではないか……と彼女は怯えます。しかし同時に彼女はこれまでの経験でますます人間的になり、怯え悩むと同時に勇気も身につけていく。小さくはホラーに対する恐怖のわずかな克服、大きくはキョーマに「テメエの運命はテメエで決めろ」と選択を求められること。その心の有り様も、キョーマからの扱いもまた、彼女が知らない内に得た変化なのでしょう。さて、危うい事態は分かれどそれを解決する手がかりはまだ雲の中。インドに向かったキョーマ達や、久しぶりに登場したキャシディー達を待ち受けているのは一体なんでしょうか。

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