FC2ブログ
Welcome to my blog

Wisp-Blog

ARTICLE PAGE

嘘と現実を行き来して――「このはな綺譚」8話感想


 今回は此花亭の娘達がコンビで動く場面は少なかったですが、柚が怒ってるのを見抜いたり駆け落ちを誘われたら相手に拳骨くれたりと、皐の柚大好きぶりが地味に漏れてた回でもありました。君もうドツボだね。



このはな綺譚 第8話「かりそめの訪客」
©天乃咲哉・幻冬舎コミックス/このはな綺譚製作委員会
171122_03.jpg
171122_04.jpg
171122_05.jpg
 浜辺に流れ着いた少女を見つけた柚。その子は嘘をついてばかりで……? ラストの幸せな種明かしに顔をほころばせつつも、1点だけ上手く腑に落ちてくれない点もあった回でした。
 元より夢現の狭間に位置するのが此花亭の世界であり、今回のお話では「嘘」(夢)が強くピックアップされています。嘘つき少女の礼、慕う両親が本当の親でなかったと嘘に涙するカイト、幸せにするという約束を嘘にしてしまうことを恐れて現世に戻ることを拒絶する男。3人とも嘘は良くないものだと思ってしまうことで、嘘と現実の境を上手く行き来することができていません。「漂流」「仲間を探している」というのは礼の孤独な心象から現れた嘘でしょうし、カイトに関するミスリードは人間と犬が区別されないこのはな亭世界だからこその嘘。ここで死のうとする男は、自分が死ぬことで家族を不幸にする(約束を嘘にしてしまう)ことに気付けていない。そんな彼らが此花亭でケアされて、理解者や絵本作家という「嘘」の表現の仕方、新しい家族や相棒を見つけていく――夢現、嘘と現実の上手い行き来の仕方を獲得していくのは、いつもながら素敵な本作のあり方であると思います。カイトが育ての親をパパ・ママと呼び、新しい家族は「お父さん」と呼んでいるのは特に素敵な切り分けでした。(ついでに言えば高橋さんの「お父さんよりも立派になるかも」というのは恐らく、盲導犬繁殖犬である父犬と比較したものと思われる)。

 ただ1点、礼の両親への言及だけが僕の中で上手く繋がってくれませんでした。男は礼に家族として認めてもらうのに長いことかかったと言っていましたが、認めてもらえたのはいつごろなのでしょうか。前半の自殺すらしようとした時、礼は母の再婚相手という言わば「嘘の父親」をどう思っていたのでしょうか。今回が嘘と現実の行き来の仕方を覚えるお話であることを考えれば、妥当なのは柚と話したAパートの後でしょう。けれど「仕事が趣味みたいな頑固親父」という礼の言及からは義理の父親への葛藤が感じられない。相手が家族であることは既に前提で、その無理解のみを嘆いている印象がどうにも拭えないのです。
 夫に対しては釈迦のように理解ある妻が母親としては無理解というのはありそうなギャップですし、長いこと家族として認めてもらえなかったということ自体が礼の「嘘」によって生み出された誤解だったと考えることもできるかもしれません。けれど前半が礼が自分を必要としてくれる人にまだ出会っていないだけと捉え直す、言い方を変えれば「両親に理解されなくとも構わない」と受け止めるようにすら思える物語だったのに対して、後半では親子3人の結びつきをきちんと存在させているのであれば、その変遷についても垣間見せてほしかった。今回は2つのお話を繋げたものだと聞きますが、そうならもう1歩だけ踏み込んでほしかったと、そう思うのです。繋げる対象の選び方は優しかっただけに、少しもどかしく感じた回でした。

関連:
このはな綺譚 感想リスト

このはな綺譚 第1話「さくやこのはな」
このはな綺譚 第2話「春の旅路」
このはな綺譚 第3話「恋待ち焦がれ」
このはな綺譚 第4話「夢の浮き橋」
このはな綺譚 第5話「梅雨送りし」
このはな綺譚 第6話「此花亭怪談」
このはな綺譚 第7話「夏祭りの夜」


にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
にほんブログ村

【言及】
http://natusola.blog105.fc2.com/blog-entry-6566.html
https://tiwaha.blog.fc2.com/blog-entry-70.html
http://sigerublog.txt-nifty.com/utakata/2017/11/post-19f3.html
http://norarincasa.blog98.fc2.com/blog-entry-6339.html
http://kira47.blog58.fc2.com/blog-entry-4629.html
このエントリーをはてなブックマークに追加

4 Comments

ロゴ  

一言だけ言わせてもらっていいかな?
なんで田辺さんのキャプがないのだ!?(カエレ

2017/11/29 (Wed) 02:38 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>ロゴさん

流れ的に入れる場所が無かったからだよ! 代わりにtwitterでキャプを入れました。

https://twitter.com/livewire891/status/933570137285730305
https://twitter.com/livewire891/status/933570593730920448

2017/11/29 (Wed) 06:46 | EDIT | REPLY |   

ロゴ  

そんなところにあったとは、この海のリハクの目を持ってしてもベネ!

最近ツィート追えてないからなぁ。(割と元々からそうだけど)

2017/11/29 (Wed) 20:05 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>ロゴさん

>そんなところにあったとは、この海のリハクの目を持ってしてもベネ!
 なぜラストがジョジョ5部に……w 最近特にお忙しいようですし、何よりご自愛ください。

2017/11/30 (Thu) 21:32 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment

4 Trackbacks

Click to send a trackback(FC2 User)
この記事へのトラックバック
  •  このはな綺譚 TokyoMX(11/22)#08
  • 第八話 かりそめの訪客 海岸で倒れている少女を発見する柚。漂流して打ち上げられた人魚だと言うが真剣に共を探す柚に嘘を告白する。彼女は現実世界が詰まらない退屈に感じていた。空想世界での物語が一番楽しかった。幼いころは友人も楽しんでくれたが成長すると共に嘘つき呼ばわりされて誰も相手にしてくれなくなった。それどころか嘘つき少女と呼ばれて遠ざかり、母からも叱られるようになった。小さな頃の夢...
  • 2017.11.23 (Thu) 15:44 | ぬるーくまったりと 3rd
この記事へのトラックバック
  •  このはな綺譚第8話
  • アクロバティックな構成の妙!AパートとBパートとに有機的な繋がりを見出せないまま
  • 2017.11.23 (Thu) 17:52 | うたかたの日々 でぼちん珠洲城遥万歳
この記事へのトラックバック
  •  【このはな綺譚】 第8話『かりそめの訪客』 キャプ感想 
  • このはな綺譚 第8話『かりそめの訪客』 感想(画像付) 此花亭に来る仮初の客たち。 それぞれ別口と思ったら最後は関係が繋がっていく展開が上手いですね! ショタっ子が何で一時預かりの里子に出されてるのかと思ったら、実はワンコだったw 盲導犬の訓練犬だったんですね。 成長が早いと思ったw 最初に会った礼さんもおじ様の娘で話が繋がっていたとはw 外の世界より此花亭の時間はず...
  • 2017.11.24 (Fri) 01:25 | 空 と 夏 の 間 ...
この記事へのトラックバック
  •  アニメまとめてプチ感想(このはな綺譚・URAHARA・アニメガタリズ)
  • このはな綺譚 第8話 作品設定をうまく生かした珠玉の一本。 ポニテ娘、おっちゃん、ショタ(実は犬)。 此花亭に来た3人、三途の川渡りかけだった件^^; お宿メンバーの真心に救われてはっぴはっぴに。 ポニテ娘は柚ちゃんが声かけなかったら成仏コースだったかも^^; 此花亭で巡り合ったおっちゃんとショタ。 ショタは保護犬だったのね。 現世に戻り、おっちゃんを支える立派な盲導犬に...
  • 2017.11.24 (Fri) 11:29 | のらりんすけっち