隣り合う嘘と本当――「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」1話感想

まだ忘れてないから、映像の君に会いに来た。
機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争 第1話「戦場までは何マイル?」
©SOTSU・SUNRISE
「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」第1話「戦場までは何マイル?」を視聴。これまでの旧作枠と違って再放送や映画が控えているというわけではないんだけど、本作は僕にとって聖典と言えるコンテンツなので次の視聴対象としました。#ポケ戦 pic.twitter.com/3B2poozNXc
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2017年12月16日
コンテンツという言い方をしたのは、幼き日の僕が触れたのはアニメではなくボンボンのコミカライズ版だったから。あの漫画は僕が初めてちゃんと全編に目を通した「ガンダム」であり、ハッピーエンド以外の結末を受け入れる下地を作ってくれた作品でした。#ポケ戦
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逆に言えば、本丸たるアニメは10年以上前に1度見ただけで僕の中でずっといびつな状態だっのでした。当時とはアニメの見方も大きく変わっているので、きちんと消化したいな……というのが視聴の目的です。#ポケ戦
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往時は特に意識しなかったが、本作は「嘘」が1つキーワードになっていると言う。それを念頭に置いてみると、序盤からその要素は大量に目につく。#ポケ戦 pic.twitter.com/BEXTa3kQQY
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なにせサイクロプス隊が襲う連邦の基地があるのは北極である。文字通り自然(本当)の極北であり実在する場所だが、その上にあるのは生活感の乏しい軍事基地というある種の「嘘」の建造物だ。#ポケ戦 pic.twitter.com/QE8VgVuoP3
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そんな場所での戦闘を描いた後、シャトルの行き先であるサイド6を映しながら1話のOPが始まる。僕らにとって未だ手の届かないスペースコロニーはこれまた嘘の建造物だが、そこにあるのは通勤・通学風景といった生活感に溢れた描写だ。こちらは嘘の上に本物がある。#ポケ戦 pic.twitter.com/exeIZFCp1g
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基地襲撃のMS戦の描写も印象的で、サイクロプス隊のMSは水陸両用で形もどこかモンスターのよう。特性を活かした滑り込みなどのアクションも人間ではできない嘘になる一方、パイロットが描かれることでそこに人間がいる事が確かに感じられる。#ポケ戦 pic.twitter.com/XEQ3EQwcVV
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一方で人型のジム達は、パイロットの描写が全く無いのにひどく人間的だ。仲間を撃ったことに戸惑ったり襲撃後にまるで死体のように転がっていたり……擦過傷とオイルの赤は次のカットで、戦死したサイクロプス隊のアンディの本物の血と重なる。#ポケ戦 pic.twitter.com/km2iUhUg7o
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MSという嘘と、中に人がいるという本物が重なり合う。アンディの亡骸を抱きかかえて叫ぶシュタイナー隊長が遠ざかっていくカメラの中に、まるでハイゴッグの亡骸を悼むようなズゴックEの姿が映る。#ポケ戦 pic.twitter.com/C1XKAfVIfD
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連邦の輸送機や格納庫が敵の目標への攻撃を遅延させるためのダミーだったり、シャトルの秒読みを生で見ていたアンディと静止画で見ていたシュタイナーで判断が食い違ったように、嘘と本当は隣り合っている。そして嘘を本当にしようとした時にはいつも無茶や犠牲が伴う。#ポケ戦 pic.twitter.com/hmtzD8rdAb
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例えば出撃時に15分遅れていてもシュタイナーが加速して予定時刻に間に合わせようとしたように。例えば襲撃に連邦軍がコンテナの積み込みを半分の時間でやらせたように。敵機がいて近づけない筈なのにアンディが強行しようとして死を迎えたように。#ポケ戦 pic.twitter.com/lcU9MxHKRC
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そして主人公の少年、アルもまた沢山の嘘をつけばつかれもする生活を送っていた。勉強しているフリをして落書きしてたり、合成タンパク(嘘)の給食にウンザリしてたり、子供同士の喧嘩で嘘をついたりつかれたり。アル自身、連邦にはMSがある証拠に自分は見たなんて嘘をつく。#ポケ戦 pic.twitter.com/UnlanCfpId
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連邦にMSがある証拠映像を取れば階級証をやる、という友人の話(嘘)を本当にするために、アルは運輸会社の父に会いに行くのを利用してMSの撮影に向かうという無茶をする。本当は学校から直行する筈だったのに忘れ物をしたと嘘をついて帰宅し、帽子とビデオカメラを持って改めて港へ向かう。#ポケ戦 pic.twitter.com/tWPwP0AOab
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帽子を被れば目線が隠れる。それは映像としては嘘つきの合図だ。アルは父に会いに来ただのトイレを探しているだの猫を被って倉庫に忍び込む。撮影を試みる=本性を表す時は帽子を後ろ被りにして目線を隠さない。芸が細かいなーw#ポケ戦 pic.twitter.com/BrPv31SuUT
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父親に学校の成績で嘘をつく時も、彼の手はずっと嘘の象徴たる帽子をいじっている。一方、倉庫を撮影できないかと父にねだる際のアルは手紙を持っている上にカメラがアップになって、帽子が画面外に出てしまう。演出はとても細やかだ。#ポケ戦 pic.twitter.com/5dt8TsTOAV
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撮影はさせてもらっても結局MSは映らない。不貞腐れて帽子を被り直してアルは帰路につくが、人とぶつかった事でアルは帽子を落としてしまう――幼馴染のクリスとの再会に、父との会話でも浮かない顔をしていたアルは初めて子供らしい笑顔を見せる。#ポケ戦 pic.twitter.com/xs7GjwXJiA
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嘘と本当は隣り合う。クリスの家はアルの家の隣であり、そこでのアルの様子は対照的だ。クリスの家では足の届く椅子に座って彼女と目を合わせるが、家では足の届かない椅子に座って母親と目を合わせることがない。#ポケ戦 pic.twitter.com/wJbKEo6qCs
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そして翌日、友人の階級章は偽物なのが明らかになるが――同時に、アルが証拠を掴めず嘘になる筈だった連邦のMSは目の前に姿を現す。自分達のコロニーでは嘘の出来事だった筈の戦争が起き、嘘と本当が重なり合う。アルは1機のザクと目が合ったような気がして駆け出して、運命の出会いを果たす。#ポケ戦 pic.twitter.com/FqF1IrGZEN
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証拠映像と先述したが、この1話では映像は「本物」としてのリアリティを持っている。シュタイナーもシャトルを映像で確認したし、アルがゲームで街を破壊すれば翌日に戦争で半ば再現されてしまう。そして肉眼では目に入らなかったザクのパイロットに彼は、ファインダー越しで初めて気がつく。#ポケ戦 pic.twitter.com/fUCEADYQQN
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演出を見ていて、こういうのを映画的と言うのかなとなんとなく感じる1話でした。さて、次回はどんな事を見つけられるだろうか。#ポケ戦 pic.twitter.com/U7Q6te0a9f
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