FC2ブログ
Welcome to my blog

Wisp-Blogは移転しました

ARTICLE PAGE

壁の認識は越境の始まり――「かくしごと」4巻感想

かくしごと(4) (KCデラックス 月刊少年マガジン)

 久米田康治の「かくしごと」4巻を読了。今回は姫のスカート(足の見える位置)が短いんじゃないかとか、逆に可久士の半ズボンの布がかかってはいけないラインなどのお話から始まりますが、そんな風にこの4巻では「境界」が大きく取り扱われていたように思いました。

 スカートの一件に象徴されるように姫は少しずつ成長していて、「小4の壁」を迎えています。自分がどう見られてるか周囲を意識し始めるその時期は言わば自分と他者の境界を意識し始める時期ですし、また大人と子共の境界線を意識し始める時期でもある。そうした姫の変化に可久士は戸惑いながらも触れ続け、同時に自分と娘の特別な関係を改めて意識もします(姫が他人の目は気にするが自分の目は気にしないことに、嬉しいような悲しいような不思議な気分になったり)。
 一方で、境界を認識するということはそれが揺らぐ可能性も多分にあるということです。可久士は自分の描く漫画の少年誌向けと青年誌向けの境界に悩むし、家族そのものについても彼と姫以外は境界に阻まれて入る余地など無かったはずが犬という新たなメンバーを加えることになる。境界は常に存在するがそれは不動ではなく、時にそれは幸せな侵犯を受けます。姫の祖父の言う母方の「継承品」が実質プレゼントであったり、姫が犬と一緒に寝るから自分と一緒に寝てくれないと可久士が嘆いていたら、翌朝姫が変わった寝相で彼とも一緒に寝ていてくれたり。そして成長する姫はどんどん母親に似てきて、母親を描いたはずの絵が姫を描いたものだと誤認されるような――現在と過去の境界線が揺らぐようなことにもなり始めている。それは単行本で「18歳の姫ちゃん」編が書き下ろされていることからも、そこで見つけた父・母・娘の3人が平凡な日常を送るだけの漫画が姫にとって1番の夢物語であることからもなんとなく感じられます。さてさて、ゆっくりとだが確かに進んでいる本作の中の時間。次回はどんなお話が見られるのでしょうか。

関連:
漫画感想(「せっかち伯爵と時間どろぼう」1巻)
漫画感想(「せっかち伯爵と時間どろぼう」2巻)
漫画感想(「せっかち伯爵と時間どろぼう」3巻)
漫画感想(「せっかち伯爵と時間どろぼう」4巻)
漫画感想(「せっかち伯爵と時間どろぼう」5.6巻)

フィクションが後押しする現実――「かくしごと」1巻感想
ごっこ遊びのマトリョーシカ――「かくしごと」2巻感想
あなたは自信がないかもしれないけれど――「かくしごと」3巻感想


にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ
にほんブログ村
このエントリーをはてなブックマークに追加

0 Comments

Leave a comment