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寄らば悪党――「バンデット -偽伝太平記-」5巻感想

バンデット(5) (モーニング KC)


 河部真道の「バンデット」5巻を読了。連載が終わってしまいましたorz なぜだ、これほどのポテンシャルを持った漫画が……悔やんでも連載は終わってしまっているので収録分に話を戻すと、5巻は集まらなければできないことと、集まってもどうしても重ならないものにスポットが当てられていたように感じました。

 今回、倒幕派が馬鹿ばかりだからと参戦を拒む赤松円心に、石はこう言い放ちます。「俺達一人一人に思ったほどの価値はない あんたなしでも時代は進むんだ」……実際それは多々描かれていることで、盗賊5人を返り討ちにし知恵の回る石であっても、後醍醐天皇の暗殺をさせようという企みに乗せられてしまうと1人では脱出できない。もっと強い「一人」であり「鎌倉武士の鑑」などと呼ばれる宇都宮公綱を相手にしてはまるで歯が立たない。文字通りはらわたを引きずり出した傷跡も鬼若や法然に言わせれば「(自分を傷つけた相手にやり返すという意味で)未殺があるうちはまだまだガキよ」「若いわりにはまあまあってとこかの」止まりだったりする。けして1人で何もかもが動かせるわけではないのです。
 しかしそれは逆に言えば集まれば価値が生まれるということであり、楠木正成の蜂起はそのもの以上にそれに呼応する様々な勢力が鎌倉幕府にとって厄介になるし、石は1人では勝てない公綱相手に鬼若・法然の3人がかりで勝利を収め、更に個々では弱小勢力に過ぎない賊を糾合して倒幕兵力を仕立て上げます。傑作なのは彼らが正成に合流する時の方法ですね。300人を3人1組に分けて浮浪者を装って敵陣に忍び込み、敵の馬や具足をかっぱらって反対側で集合、怒った敵をそのまま正成の伏兵のところに誘導する……という。1組で具足を奪うのはただのこそ泥ですが、300人でやればそれはもう立派な作戦。こういうのをもったいぶらずにぽーんとやっちゃうノリが読んでいて本当に楽しい!

 一方で、集まれば価値が生まれるということは組織そのものに価値が生まれそれを構成する個人から離れ始めるということでもあります。人気の反乱者となった正成の元には多くの人が集まる一方、それによって楠木「党」は楠木「家」になりつつあるし、彼のもとにいたままでは石は「自分の国」を持てない。だからこそ正成は石に千早城からの離脱を促すし、そして石「一人」がいなくなったところで楠木の軍勢の籠城戦は揺るぎだにしない。そんな風に道が分かれながらも正成と石が互いに友情や恩情を覚える姿は、2人が並び立っているのが感じられていっそ爽快さすら感じるものでした。さて、泣いても笑ってもあと1巻。最終巻は来月下旬発売です。
 それにしても宇都宮公綱のインパクトは凄まじい。ああ彼の「ご協力感謝する」の勢いで本作の単行本を周囲の人に押し付けたい。

関連:
漫画感想(「バンデット」1巻)
漫画感想(「バンデット」2巻)
漫画感想(「バンデット」3巻)
漫画感想(「バンデット」4巻)

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