2人なら「本当」にできる――「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」3話感想

アル「僕たちが連邦の基地を見つけたら、隊長考え直すかな」
バーニィ「何を考え直すんだ?」
アル「パイロットのこと。ミーシャじゃなくて、バーニィになるかもしれない。」
アルが無茶をするのは、今回の作戦でバーニィがMSに乗るという「嘘」を本当にしたいから。
機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争 第3話「虹の果てには?」
©SOTSU・SUNRISE
機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争 第3話「虹の果てには?」を視聴。クリスの家から帰る際に、バーニィはアルを肩車して彼女に殴られた頭が痛むと冗談を言う。2人なら嘘が成り立つのを示す、今回を象徴するようなシーン。#ポケ戦 pic.twitter.com/hJbvnDIlgF
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前回のラストで無茶をしてバーニィ達のトレーラーに追いついたアルだったが、結局カーブで振り落とされ見失ってしまい、行き先を探すために警察にひき逃げ事故の犯人を探してほしいと嘘をつく。#ポケ戦 pic.twitter.com/X6XZal1m7b
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振り落とされた時の怪我もあって嘘は上手くいくが、ひき逃げ事故という嘘は警官がトレーラーの中を怪しむという形で破綻しそうになる。。ミーシャが警官を殺しそうになった事でアルは更に「ひき逃げされたのは嘘で、生き別れの兄に会いたかっただけ」という更なる嘘をつく。#ポケ戦 pic.twitter.com/Ie4ADkrkxD
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それはバーニィが口裏を合わせることで、初めて警官に信用される(本物扱いされる)嘘だ。ひき逃げの嘘と対照的にこの嘘で嫌疑が晴れる事で、アルとバーニィの2人でこそ嘘が成立することが明示される。#ポケ戦 pic.twitter.com/iurgbtfb7z
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そういう未熟な2人と裏腹に、シュタイナー隊長は嘘をつくのが上手い。ジオン兵になりたいというアルを巧みに言いくるめて情報を引き出し、任務と称してバーニィと組ませて情報漏えいを防ぐ監視を行う。(1話のアル同様にたびたび帽子で目線を隠しているこの演出!)#ポケ戦 pic.twitter.com/oKotMK2En9
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前回気が付かなかったが、シュタイナーは禁煙中なので煙草をくわえても火は付けてないのね。禁煙パイプではない。これも言ってみれば「嘘」であり、彼が筋金入りの嘘つきであると同時に嘘に浸りきれない人間なのが見て取れる。なんという設定。#ポケ戦 pic.twitter.com/8nFOpEXOJS
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そんな彼の言葉をアルは素直に信じ、道路向こうの友達との「戦争ごっこ」を蹴ってバーニィと「敵秘密基地捜索任務」に勤しむ。学校での彼は劣等生だけど、ジオンの兵士としてはすごく優秀なのだ、と思い込む。#ポケ戦 pic.twitter.com/6gXUyOwRdh
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彼がそう思えるのはバーニィが一緒に行動しているからだ。先述したように実際はバーニィによるアルの監視なのだが、「本物のパイロット」と一緒にいるだけでアルには「本物の作戦行動」になる。少年の心をワクワクさせるシチュエーション。#ポケ戦 pic.twitter.com/bfiKesNMd4
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もっともそんな風にいい気にさせてもらっているのはアルだけではなくバーニィもだ。自分はエース目前の凄腕だという騙りをアルは目を輝かせて信じてくれる。2人の間でならその嘘は本当になる。#ポケ戦 pic.twitter.com/SWiuIpiP0z
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凄腕なんだからバーニィをMSに乗せてとアルはシュタイナーに願うが、バーニィは当然みんなの前でまでその嘘はつけない。アルが1人ねだってもバーニィが合わせてくれないなら、それは嘘として成立しない。ミーシャとガルシアにせせら笑われるだけだ。#ポケ戦 pic.twitter.com/xafT45zDek
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バーニィは「嘘のエース」だが、それはメカニックに腕は認められるクリスもまた同じ事。テストパイロットの彼女はいくらMSを操縦しても実際に戦うわけではない。アレックスのシミュレーター試験での撃墜スコアは3、やはりエースに2歩以上届かない。#ポケ戦 pic.twitter.com/n9ZUW32w86
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度々だが本作では「嘘を本当にするには無茶が伴う」。中立コロニーにケンプファーを持ち込むにはそれと分からない(嘘の)レベルの分解が必要だし、NTという本作では登場しない(つまり嘘)のパイロットのためのアレックスを十全に仕上げるのはクリスにはひどく大変な仕事だ。#ポケ戦 pic.twitter.com/Xy8rP48Qsh
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なお「「劇中の映像」にリアリティがある」とも繰り返し書いているが、アレックスのシミュレータも映像にも関わらず実戦と視聴者が誤認するように作られている。それを可能にするのが1年戦争時には画期的な技術である全天周モニターなのは、設定と演出の組み合わせの妙と言えるだろう。#ポケ戦 pic.twitter.com/6AxKzhgF1h
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また、アルが港で見たのと同じ人間=連邦の人間を見つけるのは望遠鏡越し、つまり肉眼ではないわけで。これもまた「「劇中の映像」にリアリティがある」という意味で一貫している。#ポケ戦 pic.twitter.com/xR2FhXMulE
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アルが連邦の秘密基地を見つけたのはバーニィと一緒だからであり、その後の潜入しての確認も2人だからこそ上手くいく。断片的な情報から一方が真相に気付いたり、怖気づいての中止を止めたり……#ポケ戦 pic.twitter.com/28C3sHmrJ0
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「宇宙だから接触回線じゃないと(1人だけで喋ってると)声が視聴者にも聴こえない」「潜入する時もバーニィがアルを肩車する」とか、この潜入の場面にも2人一緒じゃなきゃ上手く行かないことが多々演出されてて、何かもう泣きたくなってきた……#ポケ戦 pic.twitter.com/CwCPBd1EY2
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勢いづいたアルはバーニィには入れない吸気口に入り込み、見事アレックスの撮影に成功するがあわや連邦の軍人に発見されそうに……というところで3話のアルの出番はおしまい。1人はやっぱり、危険だ。#ポケ戦 pic.twitter.com/FsuuCyMsvj
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しかし家とパイロット時でクリスの髪型が違うとか、バーニィのやる気に応じて服の前の締め方が変わってくるとかホント細やかだなあ……#ポケ戦 pic.twitter.com/P8I1iEh3OI
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