ありふれた裏切り――「ダーリン・イン・ザ・フランキス」11話感想
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きっと、こんな事がこれからも何度も。
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第11話「パートナーシャッフル」
©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会



「ダーリン・イン・ザ・フランキス」(ダリフラ)11話を視聴。今回は決められていたパートナーから「はみ出る」お話であったように思います。
狷介なミツルの姿勢は人との関わりを避ける態度そのものであり、それは2つのものに仮託されます。1つはもちろん、約束。かつてヒロに約束を忘れられた苦い経験は彼を他者に本心を明かすような関わりから遠ざけ、クールぶらせる。それは部屋で泣くフトシを見て立ち去ろうとする姿からも見て取ることができ、ミツルはフトシの拳を避けて「相手にしようと」しません。しかし戦いを終えた後の彼はフトシの拳を避けようとしない、即ち相手にする――人との関わりのもう1つは拳であり、だからミツルはそれを受けた後で約束をするのでしょう。
新たにミツルのパートナーとなったココロもまた、これまでよりも人と関わろうとします。ゴローが「(都合の)いい人」をやめたのなら、ココロがやめるのは「博愛主義者」。相手を傷つけないよう、求められるまま無責任な(そして、その時は破る可能性や機会があるなんてヒロ同様に思っていない)約束をしてしまった彼女は「私は皆が言うような、優しくていい子じゃないよ」と、そういう自分を否定する。
誰かを選ぶことは誰かを選ばないことであり、両方を幸せにできるなんて善意悪意の有無を問わず例外的なことでしかない。それはかつてのヒロのようにココロが約束を破るからこそ、ミツルに言えることなのでしょう。聖母の装いを捨てたからこそ、ココロの言葉は届いた。
そして今回の話を語る上で、フトシもまた欠かすことはできません。約束をする前のフトシの気遣いへの感謝の言葉はココロの博愛ゆえでもありましょうが、イクノに力み過ぎないよう助言する様を見ればきっとお世辞ではない。裏切られてもなお好きな娘を思ってみっともないくらい正直に泣けて、どう見てもパワータイプでないクロロフィッツで敵の攻撃を支えるくらい踏ん張れて。彼が間違ってたとか悪いとかそういうことはなく、ただ嘘偽りなくぶつかった結果ココロの心を射止められなかった。ただ、それだけ。彼はきっと、自分を裏切った2人を「許して」いる。模範的とかそういうことではなく、彼のような奴こそ本当に「優しい」のだろうなと思います。
今回はとてもとても胸の痛むお話だったけれど、正直に言えばとてもホッとしてもいます。ミツルとココロがパートナーになる気配は以前からあり、そうするとフトシが死んでミツルが代わりを務めるというのがもっとも「穏当」なのではないかと感じていたからです。本作はそのために彼を死なせるようなことはしないだろうと思いつつ、それでも頭の片隅に残っていたそういう不安が払拭されたことに、僕はホッとしたのでした。いつの間にか、彼の事が結構気に入っていたのだなあ。
少女が血を流して語った言葉に少年も血を流してその独断を止め、そして殴られる事で再び血を流す。ああ、彼らは人間だ。次回、第2章の最後は。
関連:
ダーリン・イン・ザ・フランキス 感想リスト
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第1話「独りとヒトリ」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第2話「繋がるということ」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第3話「戦う人形」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第4話「フラップ・フラップ」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第5話「キミの棘、ボクのしるし」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第6話「ダーリン・イン・ザ・フランクス」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第7話「流星モラトリアム」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第8話「男の子×女の子」 *更新お休みのため欠番
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第9話「トライアングル・ボム」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第10話「永遠の街」

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