同異の接続――「ダーリン・イン・ザ・フランキス」13話感想
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顔も思い出せないその女性は、どうしてこの絵本を選んだのだろう。
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第13話「まものと王子様」
©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会



「ダーリン・イン・ザ・フランキス」(ダリフラ)13話を視聴。前回強調された「違い」が結びつける。そういうお話であったように思います。なにせ今回明かされる出会いの加古をゼロツーは「今でも忘れない」一方ヒロは「ずっと忘れていた」のですし。
自分が何者なのか考えたこともなかったゼロツー、逆に考えてばかりのヒロ。手ひどい扱いを受けるゼロツーと、10番台のコードで優遇されるヒロ。母親代わりの存在に与えられる側だったゼロツーと、イチゴ達に名前と希望を与える側だったヒロ。2人の描写は真逆で、しかし同時に真逆であることは反面の相似でもある。ヒロが特別な「研究対象」(=実験体)であることからもそれは言えます。
ヒロが抱えた疑問の中には「どうしてみんな黙っているんだろう」というものがありました。疑問を感じず口にせず、オトナに従う。そういう他のコドモと比べて幼少期のヒロは明らかに従順ではなく、しかしゼロツーを確かめようとしてすぐ見つかったりコドモがいなくなることを結局止められなかったり、それを成せているわけではない。だから、オトナに逆らって絵本を守ったゼロツーの笑顔はとても眩しく見えたのだと思います。そしてもちろん、ゼロツーにとって自分を外に連れ出したヒロが眩しく見えたのは言うまでもない。
通じない言葉のように、2人は分かり合ったとは言えません。ゼロツーが涙した時のやりとりだって、ヒロが自分の膝を舐めるのは絵本の王子様と同じことなのかと尋ねているのであろうゼロツーを、ヒロは絵本の続きを読むのを催促したのだと思っている。けれど飴玉と絵本という異なるきれいなものを持ち寄ったように、2人が靴と包帯の足で歩いたように、一緒に在ることがただただゼロツーにとって楽しかったように。違うものは違うもののまま繋がることができる。それは忘れなかったゼロツーと忘れていたヒロが再会したこと、無機質に思える「ゼロツー」もヒロの考えた名前であったこと、母親代わりではないヒロが同じようにゼロツーの頭を撫でること、ゼロツーの甘い物好きや舐める仕草といった部分がそのままではなくともヒロとの経験と繋がっているあろうことなどからも見えるように思います。
さて、更にもう一度出会った2人のこれからは。1クール目の反復的な描写なども気になるところですが。
関連:
ダーリン・イン・ザ・フランキス 感想リスト
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第1話「独りとヒトリ」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第2話「繋がるということ」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第3話「戦う人形」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第4話「フラップ・フラップ」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第5話「キミの棘、ボクのしるし」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第6話「ダーリン・イン・ザ・フランクス」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第7話「流星モラトリアム」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第8話「男の子×女の子」 *更新お休みのため欠番
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第9話「トライアングル・ボム」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第10話「永遠の街」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第11話「パートナーシャッフル」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第12話「ガーデン/始まりの庭」

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