消えない過去――「ダーリン・イン・ザ・フランキス」14話感想
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許されるわけではない。
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第14話「罪と告白」
©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会



「ダーリン・イン・ザ・フランキス」(ダリフラ)15話を視聴。過去の明かされた前回に続く今回は、ヒロの首から消えない圧迫痕のように「痕跡」に焦点の当たる回であったように感じました。
取り戻した記憶の中にはミツルとの約束もありヒロはそれを思い出した事を語りますが、ミツルは(少なくとも現状、表面上は)だからといって和解しようとはしません。ヒロが忘れてミツルを傷つけた、その痕跡は何も変わらないからです。一方でミツルは、無茶なところは昔から変わらないとも言います。それは記憶を消去され別人のようになったヒロの中にも確かに残る、幼い頃の彼の痕跡なのでしょう。そしてヒロはどうやって病室を抜け出たかの痕跡を残し、こっそりと鳥カゴへ向かう。
ゼロツーもまた、過去の痕跡によって突き動かされます。ヒロがかつて自分が人間になりたいと決意するきっかけとなったダーリンだったことは前回判明した通り。けれどだからと言って、知らなかったからと言って、彼女がヒロを利用し使い捨てるつもりであったことは変わらないのです。それは彼女がこれまで100人を越えるステイメンを殺してきた事実が消えないことと同じでしょう。次の作戦に向けてフランキス博士が用意した大量のゼロツー用ステイメンは、そのまま彼女の過去の所業の鏡写しです。
今回ゼロツーがヒロに会って話したいとあれほど願ったのはなぜか? ヒロの「思っていることはなんでも話してほしい。もっと君のことを知りたいんだ」という言葉がようやく分かった気がしたからです。その言葉の痕跡が彼女を突き動かしたからです。けれどそれだけ見れば良いものに思える痕跡は、だからと言って良い結果を導くとは限らない。かつて自分が多くの人間を騙した痕跡は自分も騙されるという意識を生み、ヒロと話したい渇望と合わさって暴力を生む。そして鳥カゴと病室に残された行動の痕跡を見たヒロによって、ゼロツーは拒絶されてしまう。
いくら人間のふりをしても自分は人間にはなれない。それは痕跡や(心の)傷跡を隠しても隠しきれないのと同じことなのでしょう。ギプスの取れた左手がりんごを剥く時に再び傷を負うように、イチゴの恋心も再び爆発します。ゴローに告白されて動揺はしても、それはヒロへの思いを断ち切ったのと同義ではない。彼女がずっとヒロだけを見てきたという痕跡は、隠しても隠しきれない。そしてイチゴの告白を受けてもなおゼロツーへの思いの消えないヒロの目に、飛び去る飛行機はゼロツーが去った痕跡を突きつける。
痕跡は消えない。それはヒロも自分達も手ひどい目に会いながら、それでもゼロツーの去り際に「チームの一員」への目線を消しきれないコドモ達もまた同様です。さて、次の作戦はそれを彼らやゼロツーの胸から引きずり出してくれるのでしょうか。
<追記>
イチゴ「わたし小さい頃からずっと、ずっとずっとヒロだけを見てきた」
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年4月16日
この台詞の際に「さっきまでいた筈のゴローがいない場所」が映ってるの、イチゴの視界そのものでえげつないなあ……#ダリフラ#ダーリン・イン・ザ・フランキス #ダリフラ #Darli_Fra pic.twitter.com/BzaJuirfR1
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ダーリン・イン・ザ・フランキス 第2話「繋がるということ」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第3話「戦う人形」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第4話「フラップ・フラップ」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第5話「キミの棘、ボクのしるし」
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