「生濁」併せ呑む――「ゴールデンカムイ」3話感想
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アシリパさんが殴りたそうな笑顔。
ゴールデンカムイ 第3話「カムイモシㇼ」
©野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会



「ゴールデンカムイ」3話を視聴。アシリパが味噌をオソマ(うんこ)と勘違いし、杉元の方はそれを入れたチチタプ鍋に舌鼓を打つ……という一幕がアバンでありますが、今回はそんな風に、汚いものや危険に思えるものに飛び込むことに活路がある、というようなお話に感じました。
アイヌの間では「ヒグマは巣穴に入ってきた人間を決して殺さない」という言い伝えがあり、またアシリパの父はそれを実行し自ら巣穴に入って毒矢でヒグマを狩っていました。不死身の杉元をして「絶対イヤだ」と感じさせる無謀な行動に思えますが、第七師団に追い込まれてそれを実行したおかげで杉元は生き残ります。
第七師団と相討ちになったヒグマの子供を放っておけない杉元は、ヒグマを狩るアシリパに小熊を見せるのは危険だと考えますが、育てた経験もなければ何を食べるのかも知らない杉元の手の内にあることこそ小熊にとって未来の無いことであり、むしろアシリパ達アイヌには小熊を育てる風習があって生存の道に繋がる。
またアイヌの子供達は幼い頃はオソマ(うんこ)のような汚い名前で呼ばれますが、それは虐待ではなく病魔から守るためにあえてそうした名前を付けられることも語られます。汚いものに子供を突っ込むような行為に、むしろ子供の生存を願う気持ちが込められている。
アイヌは育てた小熊は「送り返す」という形容で最終的には殺し、肉や毛皮を利用します。それを宗教的な欺瞞、汚い行為だと言うこともできるでしょう。けれど育てることで小熊は大きくなりより多くの肉や毛皮をもたらし、それはアイヌが暮らしていくための活路となる。アシリパにしても、伝統をそのまま信じるのではなくどのような利害をもたらすのか考えて取捨選択をしている姿にはある種の汚さがあり、しかしそこにこそ「未来」の意味を持つ彼女の生きる道が描かれているのでしょう。
さて、指揮系統を無視した上に上位の士官を殺す汚さまみれの鶴見中尉の目指す道とは。次回も楽しみです。
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ゴールデンカムイ 感想リスト
ゴールデンカムイ 第1話「ウェンカムイ」
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