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逆転した針――「ダーリン・イン・ザ・フランキス」19話感想


 少々駆け足ですが、用事の関係でこの時間にアップ。




ダーリン・イン・ザ・フランキス 第19話「人ならざるモノたち」
©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会
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 「ダーリン・イン・ザ・フランキス」(ダリフラ)19話を視聴。今回のアバンは七賢人と話すフランクス博士、その左手が機械音を立てるところで終わります。1話でナナの尻を揉んだ手や頭部は右を中心とした機械化でしたが、逆に左手こそは完全に機械化している――この19話では「逆転」というものが多々描かれていたように感じました。何より創作における回想とは、時間を逆転させるものであるわけですしね。

 かつてのフランクス博士――ヴェルナー・フランクは倫理観が無いと称されますが、実際は彼は彼なりの倫理観を持っています。それが「美しい」ということ。不老不死の研究方針に「美しくない」と絶対的な賛同はせず、一方で叫竜の姫には「美しい」と感じそれを恋とまで言う。そして自分に普通の恋をし出産を望んだカリナとは結局家庭を築かず(婚姻届は出されていない)、一方でその美しさに「恋」をした叫竜の姫の子供は頼まれもせずに作るというのは、倒錯的な逆転です。ならば今回そこかしこに散見される「エヴァっぽさ」は、それとは異なる要素も同時に含んでいるがゆえに、むしろエヴァとは違う作品であることを逆説的に証明するのではないかな、と思います。

 APEが世界を牛耳る組織から始まりマグマ燃料の採掘を始めるのではなく、マグマ燃料の採掘によって政財界への影響力を得る。人類繁栄のための不老不死が、貧富の差の拡大を招き新たな生命の誕生を阻害する。マグマ燃料を使った文明を維持するために都市が放棄される。そのためのプランテーションが叫竜対策のシェルターに特化していく。子供を必要としなくなった人類が叫竜の驚異にさらされ、むしろ子供を必要とするようになる。ミツルとココロの精神が現在の記憶を基調としているように、今回の話は過去があって現在があるのではなく、現在のために過去がデザインされているような逆転の構図によって構成されています。さて、ならばヒロ達の進む道は。

<追記>


関連:
ダーリン・イン・ザ・フランキス 感想リスト

ダーリン・イン・ザ・フランキス 第1話「独りとヒトリ」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第2話「繋がるということ」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第3話「戦う人形」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第4話「フラップ・フラップ」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第5話「キミの棘、ボクのしるし」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第6話「ダーリン・イン・ザ・フランクス」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第7話「流星モラトリアム」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第8話「男の子×女の子」 *更新お休みのため欠番
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第9話「トライアングル・ボム」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第10話「永遠の街」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第11話「パートナーシャッフル」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第12話「ガーデン/始まりの庭」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第13話「まものと王子様」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第14話「罪と告白」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第15話「比翼の鳥」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第16話「ぼくたちの日々」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第17話「楽園」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第18話「桜の花が咲く頃に」

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2 Comments

MITSUKI  

世界観などの謎の種明かしの回でしたね。叫竜の正体こそまだ不明ですが
七賢人を批判していたフランクス博士もある意味狂人だったんだな…。

「次の作戦」とやらが、いよいよお話的にも最後だと思うので
コドモ達、APE、叫竜それぞれの思惑が絡み合う中で
どうまとめにむかうのでしょうか…。

2018/05/28 (Mon) 09:56 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>MITSUKIさん

>世界観などの謎の種明かしの回でしたね。叫竜の正体こそまだ不明ですが
>七賢人を批判していたフランクス博士もある意味狂人だったんだな…。
 狂人なのは確かでしょうね。博士も七賢人も自分達を思ってくれない、というのがこの上なくハッキリした回であったように思います。

>「次の作戦」とやらが、いよいよお話的にも最後だと思うので
>コドモ達、APE、叫竜それぞれの思惑が絡み合う中で
>どうまとめにむかうのでしょうか…。
 ヒロ達の望みはとてもささやかですが、その前にある障害はとても大きく思えますね。果たして彼らに、何ができるんでしょう。

2018/05/28 (Mon) 20:37 | EDIT | REPLY |   

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  •  ダーリン・イン・ザ・フランキス BS11(5/26)#19
  • 第19話 人ならざるモノ フランクス博士は七賢人の処置に抗議する。ヴェルナー・フランクは大学でクローン技術などを研究していた。成績は優秀だったが倫理的に問題が多かった。APEへの転籍を勝手に決められた。地下からマグマ燃料を採掘することで急激に発展したAPE。 テロメア再生医療で高名なカリナ・ミルザ博士はフランクを尊敬していた。APEは人類の長年の憧れである不老不死の研究を...
  • 2018.05.28 (Mon) 02:07 | ぬるーくまったりと 3rd
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  •  ダーリン・イン・ザ・フランキス 第19話 『人ならざるモノたち』 起動実験に望む妻ってまんまエヴァじゃん!
  • 元ガイナックス、セルフパロディにしても似すぎでしたね。出産を嫌悪するのは人工授精が当たり前になって、性行為がグロく見えるからだと思っていました。子供を作ること自体がAPEと相容れない発想だったんですね。 回想話。20話付近に回想が入ってくるのもエヴァっぽい。2030年頃から話が始まるということは、現在は50年後の2080年くらいでしょうか。若い頃はちょっと影のあるイケメンだったフランクス博士...
  • 2018.05.28 (Mon) 21:44 | こいさんの放送中アニメの感想
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