戦いを「不味く」するもの――「ガンダムビルドダイバーズ」9話感想
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違うのだ……僕が見たかったのはシャッコーの改造機であってリグ・シャッコーの改造機ではないのだ……(ジタバタ
ガンダムビルドダイバーズ 第9話「オーガ再び」
© 創通・サンライズ・テレビ東京



「ガンダムビルドダイバーズ」9話を視聴。オーガとの再戦を通して、「力や結果が全てじゃない」ことが描かれていた回だったように思います。
今回はまず、フォースバトルに対するリクとドージの対比が目を引きます。かつて自分の力量を見誤り機体に負担をかけたリクはトランザムを使わないことを改めて誓い、技量で兄に遠く及ばないドージはブレイクデカールを使うか否かを思い悩む――「急激な強化」「自機への負担」という意味では、実はリクにとってのトランザムとドージにとってのブレイクデカールは近しい位置にあるのですね。だからリクはオーガにやられそうになろうとトランザムを使わず、ドージの方はブレイクデカールを発動させてしまうという真逆の行動に意味があるのです。
前回ステアが示したように、ブレイクデカールは力無き者に付け入る悪魔の誘惑でもあります。ドージもまた、フォースの他のメンバーに比べ上手いとは言えず、リクとの再戦もまるっきり省略されて良い所無しでした。腕に覚えがあっては、弱者の象徴とはなれない。
ですが、百鬼のフォースメンバーの1人ナッツは今度のメンバーを「ベストメンバー」と言っていました。オーガとドージは本当に兄弟なのかというアバンのからかいも、新記録を達成するオーガの類まれなる強さとの差の話であってドージを下手だとなじっているわけではありません。同じくメンバーであるローズの、ちゃんと認めている、見てるという言葉は、けして降って湧いたものではないのです。そしてそれはきっと、単に強い、力があるというだけのものでもないのでしょう。
「力や結果だけが全てではない」ということは、今回のフォースバトルの結末でも描かれています。終わりだけで言えば、ビルドダイバーズは勝利をおさめました。ですがそれは弟がブレイクデカールを使ったことにオーガがケジメを付けたからであって、リクは成長した自分を全てオーガに見せることができていません。もちろんオーガも、それを全て味わうことができなかった。決着が付かず今回は消化不良だった、と感じるのは、とても真っ当なことだと思います。だってそれは、真っ向からぶつかり合う喜びをブレイクデカールによって奪われてしまった今回のリク達の気持ちと同じものなのですから。
ブレイクデカールを使ったら、勝敗優劣だけにしか目を向けなかったら、勝利も敗北もその味を失ってしまう。この悪魔のツールが何を壊してしまうのか……ということが私達自身味わえる回でした。さて、このGBNの危機にダイバー達はどのように立ち向かうのでしょうか。
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