同じ臭いがすればこそ――「ゴールデンカムイ」8話感想
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このあたりのくだりはパラ見した覚えがあるのですが、関俊彦という意外にして納得のキャスティングに唸る。
ゴールデンカムイ 第8話「殺人鬼の目」
©野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会



「ゴールデンカムイ」8話を視聴。二瓶と谷垣がアシリパと杉元に対比できた前章は「似た者」を見い出せるものでしたが、今度は「似ているからこそ違いが際立つ」ことが描かれていたように思います。
新たに登場した元囚人・辺見和雄は杉元に対して「僕と同じだ」と類似性を感じています。大勢の人を殺した経験、その相手を顔すら忘れない律儀さ、自分は穏やかに死ねるとは思っていない覚悟……彼が自分と同じ臭いを感じるのも、別におかしい話ではありません。
ですが似ていればこそ、辺見の異常性は際立ちます。金塊の地図ではない「目」の刺青、呼吸と同じものとしての殺人、弟の悲惨な最後に起因し性欲と結びついてすら思えるその欲求……また純粋に殺人行為を求める恐ろしさは、同じく刺青を彫られた他の囚人がいればこそ際立ちます。大包丁でニシンを切る様子を辺見が自分の首が切られるのに見立てて興奮する様は、それを似ていると感じる部分まで含めていかに彼がイカれているかがよく表れていました。
殺し殺されることを覚悟している……という意味では、辺見和雄は二瓶鉄造に似ていると言えなくもありません。しかし獣相手ではなく人間相手にそれを行うその姿は、丁寧な言葉遣いと裏腹に下品な二瓶より遥かにグロテスクで身勝手そのもの。彼は弟を殺した猪を言葉の通じない化物と言いましたが、自身はむしろ言葉の通じる化物だと言っても良いでしょう。
「殺す」と「殺される」。辺見の中で矛盾なく繋がるその2つは、しかし物語には大きな違いをもたらすもの。さて、志村後ろ後ろと言いたくなるようなこの状況、次回もゾッとする展開が待ち受けていそうです。
しかし「なまくら」と「かつて愛用した和泉守兼定」は同じ日本刀として格好良さの違いが際立つ一方、「叔父を守りに」と「クジラを食べに」では同じ海に行く理由でも笑いの種としての違いになるのは面白いなあ。
関連:
ゴールデンカムイ 感想リスト
ゴールデンカムイ 第1話「ウェンカムイ」
ゴールデンカムイ 第2話「のっぺら坊」
ゴールデンカムイ 第3話「カムイモシㇼ」
ゴールデンカムイ 第4話「死神」
ゴールデンカムイ 第5話「駆ける」
ゴールデンカムイ 第6話「猟師の魂」
ゴールデンカムイ 第7話「錯綜」

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