奪われた過程――「ダーリン・イン・ザ・フランキス」20話感想
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妊娠とは往々にして、過程の際は想定しない結果である。
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第20話「新しい世界」
©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会



「ダーリン・イン・ザ・フランキス」(ダリフラ)20話を視聴。前回の感想で僕は「現在のために過去がデザインされているよう」と書きました。それは違和感だったわけですが、今回はその正体が明かされ、また全体に浸透していくお話だったように感じました。
「現在のために過去をデザインする」とは「結果のために過程をデザインする」と置き換えることができます。APEが世界を掌握する前回の過程は叫竜を敵としVIRMを有利にするという結果のための過程だったわけですが、そうしたことはより細かな部分でも行われています。違和感を無視した新たなナナの配属、従順な兵士を生み出すための記憶の(過程の)改ざん。フランクスにしてもその技術は完全にものにされたわけではなく、既にある過程を流用して対叫竜兵器という結果を手に入れたに過ぎません。そしてコドモ達はそうした過程を何も知らず、ただ敵と戦うという結果だけを求められていた。
過程をおろそかにするのが敵である、という図式に立つと、一方で叫竜サイドも味方とは言い難いものです。だって彼らの言葉は脳に直接語りかけるもの――聞こえるという「結果」を先に生み出すものなのですからね。つがい無しでも操れると言いつつヒロを強引に利用はし、スターエンティティがストレリチア・アパスへの醜く改造されても子であることに変わりなければ構わない。過程に対して真摯である、とは言い難いように思います。
とは言え、VIRMは過程どころか結果すらおろそかにする存在なのは確かです。「手に入らないのならこの星ごと壊すまで」というのは、当初望んだ結果すら放棄しているのですから。それは誰が起動させるのであれストレリチア・アパスが動きさえすれば(結果さえあれば)許容したフランクス博士すら絶望させる放擲です。壁に血痕という過程を残して歩むゼロツー達は果たして、未来にたどりつけるのでしょうか。
<追記>
ダリフラ、コドモ達は社会性を学習ではなく獲得していくがそれは旧来のものと似通っている……というような指摘を以前見たけれど、それは前回を筆頭に随所の描写が過去の有名ロボットものを連想させるのと同じことなのかなと今回思った。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年6月11日
たぶんそれは過去の作品の歩んだ「過程」を尊重するということだ。VirmやApeが「結果」だけを求めるのと対になるもの。ヒロ達が旧来の社会性(過程)を再獲得してその先に行くのと同じように、本作も過去のロボットものの過程をたどることでその先へ行こうとしているのではないかな……と。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年6月11日
関連:
ダーリン・イン・ザ・フランキス 感想リスト
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ダーリン・イン・ザ・フランキス 第2話「繋がるということ」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第3話「戦う人形」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第4話「フラップ・フラップ」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第5話「キミの棘、ボクのしるし」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第6話「ダーリン・イン・ザ・フランクス」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第7話「流星モラトリアム」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第8話「男の子×女の子」 *更新お休みのため欠番
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第9話「トライアングル・ボム」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第10話「永遠の街」
ダーリン・イン・ザ・フランキス 第11話「パートナーシャッフル」
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