心を蝕む見えない毒――「ガンダムビルドダイバーズ」11話感想
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だから、それを浄化するのもまた。
ガンダムビルドダイバーズ 第11話「アヤメの涙」
© 創通・サンライズ・テレビ東京



「ガンダムビルドダイバーズ」11話を視聴。描かれたアヤメの過去ではブレイクデカールは直接登場はしませんてしたが、それに類するものがダイバーの心を蝕んでいく様子が何とも苦しい回でした。
これまでの話でブレイクデカールは、単に違法プログラムというだけでなく使用者の弱った心に付け込む存在であることが描かれてきました。弱った心とは簡単に言えば「勝ち負け(結果)に囚われポリシーを見失った」状態です。ステアもドージも仲間を失いたくない一心で結果を出すことしか見えなくなってしまい、手段の良し悪しが分からなくなってしまった――これって、アヤメが最初に所属したフォースのリーダーが仲間を失いたくなくてリアルサイズガンプラに手を出し、そのために思い出の作品を交換してしまったのと同じことなのですね。シバはあの時ブレイクデカールを使わずとも、同様の効果を起こしているのです。
仲間との思い出のガンプラを取り戻すことそのものを目的にせざるを得ず、そのために多くの人の思い出を引き裂きGBNという場所そのものまで壊す行為に加担してしまったアヤメもまた、精神的にはブレイクデカールと同様の毒に冒されています。SD使いの彼女がリアルサイズに変形させた零丸だけで戦う姿は、かつて仲間がリアルサイズに手を出した行為の反復でもあるのでしょう。
でも、あの時の仲間とやり直すことはできなくても、その思い出を新たな仲間に引き継ぐことはできる。リク達の言葉はコーイチを救った時のように、アヤメの思い出に触れるものでした。
そうしてアヤメは、思い出のガンプラを取り戻せるかどうか――「結果」の定かでない道を再び歩み始めます。彼女と異なり、傭兵達には元よりポリシーが無い。ドラグーンをただの砲台としか使わなかったり、タイタスで銃撃したり、サイコミュジャックを持つユニコーンベースの機体にファンネル攻撃を仕掛ける愚行に走ったり。それはタイガーウルフに言わせれば拳に魂がなく、シャフリに言わせれば敬意が無く、キョウヤとアヤメに言わせれば愛が無い。そして自らもそうであったからこそアヤメは自機にも被弾し、ダメージを受けたそれはリアルサイズから元のSDに戻る。あの決着は贖罪の1つであると同時に、更生の意味もあるのだろうなと思います。
さて、毒をばらまいたシバの心にはどんな闇が救っているのか。リク達の翼が、それを吹き飛ばしてくれるのを期待したいと思います。
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