正しさに勝るもの――「プラネット・ウィズ」6話感想
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画像は後日追加します。→8/16追加しました。
プラネット・ウィズ 第6話「パラディンブレイク・2」
©水上悟志・BNA・JC/Planet With Project



「プラネット・ウィズ」6話を視聴。決戦の最後の一撃は、鉄下駄による蹴り――ではなくパンチ。宗矢は叫びます。「正義なんて、下駄ほど役には立たねえよ!」と。下駄で殴るというのは正しい用法ではないわけですが、すなわちこの6話は「正しさに勝るもの」が描かれていたように感じました。
龍造寺隆は正義を偏執的と呼ばれるほどに求め、正義とは「正道」「道理」などとも置き換えられなくもないわけですが、今回のお話ではそれが曲げられる場面が多く見られます。
例えばグランドパラディンに残った葉介はその「正道」である戦いを目的としていたわけではなく、岳蔵が負けて宙に放り投げられた時に助けるという異質なことを目的としており、事実それは功をなしました。
例えば閣下の使用した超次元シールドは相手の攻撃を亜空間に無限に誘導するという「道理」を持っているわけですが、龍造寺隆の攻撃はなお白石に重さを感じさせます。すなわちこの時、道理は曲げられている。
例えば閣下は、シリウスを滅ぼした龍が確かに死んだのをその目で見ました。龍はもういない、それが「道理」です。しかし龍造寺隆の能力や性質は龍に酷似し、その再来を思わせる――生まれ変わりというのが本作においてありえるものなのかは分かりませんが、龍がもういないという「道理」が曲げられそうになっているのは確かでしょう。
宗矢もまた、下駄パンチを始めとして様々に「道理」を曲げることで事態を進行させていきます。龍造寺隆と閣下が戦っているなら自分もすぐに……という道理を曲げて宇宙船に戻ることで銀子の助力を得、相手の強さに慎重に戦いたくなるところをむしろ一気呵成に攻め立て追い込む。最大の一撃に退くよう求められても逆に前に出ることで、町が焼け野原になることを防ぐ。龍造寺隆への伝言も父・岳蔵の言葉を「正しく」伝えるものではなく、しかしそれによって生まれた「優しさが1番大事」という言葉こそが相手の心の頑なさを解くものとなりました。
「正義」「正道」「道理」に従うのは、ある意味で楽なことです。正しさは保証されているのですから、信じればそのまま力になる。むしろそこからはみ出ることにこそ、勇気が求められます。くらえば危うい、というのが感じられる岳蔵の鬼気迫る刃に飛び込む時、宗矢がそれを求めたように。
さて、最終決戦と言って差し支えなさそうな決着や、宗矢の「終わったよ」という言葉の道理を曲げて物語は続きます。折返しを迎えた物語は、このあと何を僕達に見せてくれるのでしょう。
関連:
プラネット・ウィズ 感想リスト
プラネット・ウィズ 第1話「光、七閃」
プラネット・ウィズ 第2話「ネビュラソルジャー」
プラネット・ウィズ 第3話「復讐者・1」
プラネット・ウィズ 第4話「復讐者・2」
プラネット・ウィズ 第5話「パラディンブレイク・1」

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