「灯台へ」感想

ヴァージニア・ウルフの「灯台へ」読了。これまでの(乏しい)読書経験の通じない、難敵とすら言えるような作品だった。なにせ人称がポンポン変わり、文章は頭の中を垂れ流しにするようなとりとめのなさ。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年8月26日
僕は作品に読むにあたって、作中の描写の中から共通点を拾い集めてテーマに収れんさせるという手法を取るが、この本はどの情報を共通点候補とすれば良いかの選別が酷く難しい。実際はともかく多くの描写が等列にも取れるし。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年8月26日
ただその表現は疑いようなく美しく、故に脳内メモリから溢れても端々が突き刺さる。読み進め読み返せば次第に輪が生まれていく。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年8月26日
輪というより、波だろうか。表現のように疑いようなく美しくしかし古さも持つラムジー夫人の性質は、本人の望む通りになるかどうかに関わらず伝播し継承されていく。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年8月26日
夫人が亡くなり実質的に第3部の主役となるリリーは夫人と同じ性質を持たない。しかし反発も含めて確かにリリーの中にはラムジー夫人から受け取ったものがあり、それは彼女の道を形作っていく。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年8月26日
著作や絵、精神がそのまま残るのではなくとも、人の存在は未来に連続性を与える。当人が意識すらせぬ些細なことであっても。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年8月26日
古きに対する憧憬と新しきに対する勇気。本作ではそれが接続されているように感じた。とりとめなく見える描写が後に繋がっていることは読み返しで多く見つかる事であり僕には十分掘れていないと思うが、良い読書経験でした。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年8月26日
個人的には、リリーが絵の具箱の留金をいつも以上にきっちりと締めることで思い出を固定化する描写がとても好み。美しい表現、というのが腑に落ちた。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2018年8月26日