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偽物も本物も――「ガンダムビルドダイバーズ」25話(最終回)感想


 手を取り合えるんだ。

<お知らせ>
 仕事の都合で明日のパンドーラ感想は後日となるかもしれません。最終回なので、これは流石に日を改めてでも必ず書きます。



ガンダムビルドダイバーズ 第25話(最終回)「新しい世界」
© 創通・サンライズ・テレビ東京
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 「ガンダムビルドダイバーズ」最終回25話を視聴。僕は本作を「偽物が本物になる物語」と捉えていたのですが、終わってみるとそれは少し違ったように感じました。「偽物も本物に等しい輝きや力を持ち得るし、偽物にしかできないこともある」……ということだったのかな、と。

 リク達に最後に立ちふさがるレイドボスには意思と言えるものがなく、その戦いはゲームの延長とも言えるもの。つまり「偽物」です。ですが、そういう相手だから前回まで争った全てのダイバーが、いや運営と開発までもが手を取り合える。GBNが好きという誰もの根底にあるものを見つめ直すことができる。仲直りできる――かつて袂を分かったコーイチとシバが、GPDの時のように背中を合わせて戦えるように。前回までのある意味で本物の戦いをリクが「こんな風にチャンピオンと戦いたくはなかった」と望みはしなかったように、偽物にも本物にもそれぞれできることとできないことがあり、そこに優劣は存在しないとすら言えます。

 サラの存在とそれにまつわる出来事は、偽物と本物を等価にしてゆきます。サラは現実世界へやってきたわけですが、GBN生まれの彼女にとって果たしてどちらが「本物」でしょう? コーイチ達の作った義体への移動はサラにとってのダイブであり、リクは「向こうの世界で待ってる」と言います。リク達にとってGBNがかけがえのないもう1つの世界になったように、サラにとっての現実世界もまたあくまでもう1つの世界に他ならないのです。
 偽物が本物に等しい輝きを持つのなら、むしろ本物だって偽物に等しい輝きを持つことができる。ロンメルはサラに援護の直後にGBN上でまず謝罪しました。キョウヤは現実世界で直接謝罪しなければ気が済みませんでした。2人がきちんと謝ることができる場所はそれぞれ違っていて、それはどちらもサラに届きます。現実世界でのリクと皆の対面はGBNの時と同じように、しかし異なる驚きと喜びにあふれている。今回彼らが味わった感情は、サラも含めGBNでは得られなかったものでしょう。そして同時に、GBNでしか得られないものもあるからリク達はまたダイブしていくのです。

 ガンプラバトルものが持つガンダムの「偽物」という要素をネットゲームによって世界そのものにまで拡張した本作のありようは、無印やトライとは繋がりつつもまた一味違ったテーマ性を持つものでした。誰も死なない世界の話を、本当に誰も死なないまま終わらせてくれて良かったなと思います。サラのことだけではなく、アヤメのかつての仲間なども引退=GBN上での仮死から戻ってきたし、今回の争いでも誰もGBNを去ることは無かった。もしそうなっていれば、「皆が笑顔になれるGBN」というリクの好きな夢物語――偽物は、ただの嘘になってしまっていたでしょうから。
 重く扱えるテーマの中に優しさが通底した、素敵な作品でした。スタッフの皆様、お疲れ様でした。




 しかしこう、皆がガンプラを操ってレイドボスに挑む姿はガンブレやってるとそそられますね。実際に組んでる人のガンプラや僕のこのガンプラも画面外にいたに違いない……!

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ガンダムビルドダイバーズ 第3話「守る者」
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ガンダムビルドダイバーズ 第5話「聖地・ペリシア」
ガンダムビルドダイバーズ 第6話「過去と未来」
ガンダムビルドダイバーズ 第7話「フォース戦」
ガンダムビルドダイバーズ 第8話「フェス!」
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ガンダムビルドダイバーズ 第10話「有志連合」
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ガンダムビルドダイバーズ 第12話「光る翼」
ガンダムビルドダイバーズ 第13話「デュエル‐決闘‐」
ガンダムビルドダイバーズ 第14話「新しい力」
ガンダムビルドダイバーズ 第15話「ロータス・チャレンジ」
ガンダムビルドダイバーズ 第16話「再会、友よ」
ガンダムビルドダイバーズ 第17話「共同戦線」
ガンダムビルドダイバーズ 第18話「男の意地」
ガンダムビルドダイバーズ 第19話「ナデシコアスロン」
ガンダムビルドダイバーズ 第20話「真実」
ガンダムビルドダイバーズ 第21話「君の想い」
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ガンダムビルドダイバーズ 第23話「宿命の二人」 *お休みにつき感想は欠番
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6 Comments

MITSUKI  

ビルドダイバーズ完。ビルドシリーズ3作目として
ファイターズから続く面白さと熱さを持ったアニメでした。
ネットダイブをテーマにした本作ですが、バグやウイルスなど
ガンプラと絡めたエピソードで過去作とは違った趣になりました。

個人的にコーラサワーが最後にイナクトでセリフもあっての
活躍は嬉しかったですねw 

ガンダムビルドシリーズはこれで終わりではなく、まだまだ
続いていきそうですし、次回作があるのなら次も期待したいです。
オルフェンズの機体もいつか色々と出て欲しい所。

2018/09/26 (Wed) 23:53 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>MITSUKIさん

>ビルドダイバーズ完。ビルドシリーズ3作目として
>ファイターズから続く面白さと熱さを持ったアニメでした。
>ネットダイブをテーマにした本作ですが、バグやウイルスなど
>ガンプラと絡めたエピソードで過去作とは違った趣になりました。
 ガンプラを題材にした作品でありつつ、ガンプラに留まらないテーマ性を持った作品であったと思います。シリーズのありようとして閉塞感を打ち破ってくれるものだったのではないかと。

>個人的にコーラサワーが最後にイナクトでセリフもあっての
>活躍は嬉しかったですねw 
 ああいう遊び方もあり、ということでしょうかね。彼のGBN世界での扱いが気になります……w

>ガンダムビルドシリーズはこれで終わりではなく、まだまだ
>続いていきそうですし、次回作があるのなら次も期待したいです。
>オルフェンズの機体もいつか色々と出て欲しい所。
 そうですね、作品横断的なガンプラの改造も面白かったですし、メカ的にもシリーズを展開して広げられる可能性はあるのだと思います。また新境地を見てみたいと思いました。

2018/09/27 (Thu) 22:28 | EDIT | REPLY |   

towa  

こんばんは、ビルドダイバーズ感想拝見しました!面白かったです。

闇鍋さんの感想で、改めてテーマ性の一貫した作品だったのだなと感じました。
現実とネットという二つの世界から、「混ざる」「組み合わせる」という単語であったり、「本物と偽物」という対比であったり、また新しい見方を教えて頂きました。
ネットゲームという世界観や、ネトゲとガンプラ(闇鍋さんの書かれていたようにガンダムの偽物とも言えるもの)の共通項などをとても活かした内容だったことにも気付かせていただきました。

「偽物」という括りで捉えられるGBNやサラという存在を通して、全てのダイバーに「本物」の絆が芽生えていくというお話がずっと一貫していたのはとても良かったですね。現実世界とGBNのそれぞれのリアルの姿がアバターとあまり変わらないのも、それぞれ本質は同じであり、闇鍋さんが書かれているように「偽物と本物が等価である」ということかなと思いました。最後にはサラちゃんまで現実世界に来ちゃいますものねw 本当に「混ぜこぜ」。

シャフリさん風に言えばとても製作者の「愛があった」作品だったと思います。
作風が前2作とかなり変わったのはシリーズものとしてかなり良かったですね。どちらが良いというのではなく、間口が広がるので、シリーズが続いていく希望がかなり持てました。
感想お疲れさまでした。22話、23話の感想も見てみたかったです。ビルドシリーズまだまだ続くと良いですね!

2018/09/28 (Fri) 20:01 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>towaさん

こんにちは、コメントありがとうございます。

最終回の感想でテーマに対する認識を改めた僕ですが、そこに代表されるように作品に対する認識を改修していく視聴時間でした。
公式サイトのストーリーの「多くの出会いと経験を経て、リク達はガンプラだけでなく、自らの冒険をもビルドしていく!」という紹介はとてもよくできた説明だったと思います。
もちろん、towaさんのコメントも。「混ぜこぜ」という部分は後々では僕の視点から抜けてしまっていたのですが、おっしゃるように後半にも援用できるものだったんですね。
1話1話感想を書いていく良さが味わえた作品であり、またまとめてコメントをいただけることにありがたさもありました。感謝です。

>作風が前2作とかなり変わったのはシリーズものとしてかなり良かったですね。どちらが良いというのではなく、間口が広がるので、シリーズが続いていく希望がかなり持てました。
そうですね。旧シリーズ路線の続編には閉塞感もあったので、ガンプラの持ちうるテーマ性の1つを深化させてまだ物語を作れることを証明してくれたこの作品は確かに希望を感じられるものでした。ちゃんとバトンを受け取れた作品であったと思います。

2018/09/29 (Sat) 08:49 | EDIT | REPLY |   

ロゴ  

気力体力ともにいっぱいいっぱいで、そろそろ横綱を引退しなければならないかな、と思っている…え、横綱?
てなわけで、何か書こうと思って手が動かずにいました。
どうもこんばんわ、僕です。(誰だよ

前にもちょっと言及したようにサブキャラの掘り下げがちょっと足りてない気がするなぁ、と思いました。
例えばアヴァロンではチャンピオンの存在感はすごかったのですが、副隊長二人の強さがいまいちわかりにくく、MSを乗り換えた事も(バンダイの要望以外の)意味が感じられない。
やっぱりダムAでやるのかな、その辺り。
オーガとも何度も戦って、リク達の前に立ちふさがる高い壁になって欲しかったし、ロンメル本隊との戦いも見てみたかったと思うのが本音。
せっかくフォースというものがあるんだから、もっとフォース同士の戦いを見てみたかった。

とはいえ半年間楽しませていただいたのは間違いのない事で。
前半のブレイクデカール事件と、それすらを伏線とした後半のサラ救出関連の一本のメインストーリーを描ききったのは良かったかな、と思います。

2018/10/11 (Thu) 22:14 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>ロゴさん

 お腹の調子は大丈夫でしょうか? 無理されませんよう。

 もっと見たかったな、というのは良くも悪くもあるかと思います。掘り下げという言葉は使われ過ぎであまり好きじゃないですが…… カルナとエミリアについては、あんなガンプラを作るくらいですから(以下検閲

 大会のような分かりやすい一本道がないにも関わらず全てが収束する、というのは本作が一貫していた良い証左であると思います。

2018/10/12 (Fri) 22:05 | EDIT | REPLY |   

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