順逆反転――「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」2話感想
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今期はニコ動では配信無いんですね。ますます足が遠のくな……
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第2話「ブチャラティが来る」
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/ 集英社・ジョジョの奇妙な冒険GW製作委員会



「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」第2話を視聴。今回は原作70ページ分弱といったところ。前回の話でジョルノに対して「悪から善を引き出すことができるということと同時に、彼自身がいつ危険や闇に引きずり込まれてもおかしくない」と書きましたが、今回はそれがより強く描かれていたように感じました。
ジョルノの幼少期はけして恵まれたものとは言えず、両親、住む街、公権力といった全てが優しくなかった(彼に対して悪だった)わけですが――そんな彼に瀕死のギャングを救わせたのは、その悲惨な環境が生んだ「自分と同じようにひとりぼっちでさびしそうだな」という共感でした。周囲に人間とは思えない扱いを受けてきた彼にとって瀕死のギャングこそが自分と同じ人間だった、と考えると改めて彼の育ちの荒涼さを感じますが、しかしその悪しき環境こそが彼に善行をさせたわけでもあります。そしてナレーションが語るように、悪事をはたらき法律をやぶるギャングのはずの男はその悪しき力でジョルノを守り助け、彼の心を育てる善行を成してくれました。
男はジョルノをけしてギャングの世界に巻き込まないという厳しい態度をとり続けました。それはおそらくジョルノにギャングになってほしくないと言う、己の悪を認識しているであろう彼にとってもう一つの善行だったのでしょう。アニメオリジナルで挿入された仇討ちを試みる子供とのシーンで彼は暗がりの中にあり、殺せぬ子供とジョルノは陽のあたる場所にいることからもそうした思いは見ることができます。しかし悪から善が生まれるように、善からも悪は生まれる。男のその立派な態度はむしろ光り輝く場所に至るものであり、ジョルノを惹きつけてやみません。こうして彼は、男にとっては悪しき結果であろうギャング・スターへの道のりを歩み始めたのでした。
悪と善、あるいは損と利といった要素はブチャラティとのバトルでも目まぐるしく入れ替わります。始末する覚悟は始末される覚悟に。敵に生命を与えるマヌケなスタンドは感覚だけを暴走させる恐怖のスタンドに。その能力の恐ろしさはむしろブチャラティに搦め手を使わせる危地に。腕を付け替え能力を避ける好手は一瞬の隙を生む悪手に。自ら腕を引きちぎる愚行は反撃のきっかけに。破壊力の無さはむしろショック死の恐怖に。そして、晒した人間性の隙はむしろ生存と矛盾の解消の機会に。「あんたがいいひとだからな」が先週の康一への言葉と重なってるのに今更気がついた……!
そしてジョルノは子供に麻薬を流すようなギャングを消し去るために、自らギャングになる決意をブチャラティに語ります。それがつまり、彼の成そうとしている最大の「悪から善を成す」――原作にない、青空を背に手すりに腰掛ける彼の姿に貫禄を感じる2話ラストでした。
さて、今回も原作との違いで特に興味深かったポイントをいくつか。
<パワーはオレのスティッキー・フィンガーズの方が上だ>

スティッキィ・フィンガーズが初めて全身を現す場面ではゴールド・エクスペリエンスとの殴り合いが追加。今回のバトルは内容の都合上、ここ以外にスティッキィ・フィンガーズの全身が映る場面が無かったりします。タイトルのパワー差に対する言及は、原作ではここで初めてスタンドのパラメーターが描かれた(ゴールド・エクスペリエンスのパワーはC(普通))ことの反映でもあるかしらん。下から押し上げる画面の流れがそのまま、ブチャラティが流れを押し戻すイメージになっていて格好いい。
<蠅を隠すなら蠅の中>

ブチャラティがぶつかった男の1人に生ゴミを持たせたことで、役目を果たす前から蠅が画面内に。うるせぇー「蠅」だなッ!(褒め言葉)
<次回の布石>

ジョルノとブチャラティのいる場所の違いに目を奪われますが、右下のヤシやらなんやらは次回出番があるはずのものです。場所が急に変わらないよう位置に気を使ってくれているのを感じます。
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