道化は魅了する――「からくりサーカス」4話感想
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その力は見る者を観客に変える力。そして観客を導く力。
からくりサーカス 第4話「コラン」
©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン



「からくりサーカス」4話を視聴。序章の終わりとなる今回は、立場をくるくると入れ替えて繰り広げられる道化芝居の数々が圧巻でした。
最たるはもちろん、前回自分も舞台に立つこと――道化になることを決めた勝です。これまでが嘘のような胆力、観察力、再現力はどれもが「芸」と言って差し支えないものであり、阿紫花はもちろんのこと鳴海ですら驚かされます。その瞬間の彼らは観客であるし、同時に勝の姿に彼らは道化である自分を奮い立たせられる。勝の行動の多くが彼が見てきたものの模倣であることは、それが「芸」であることを僕という観客へ強く印象付けてくれました。
貞義の人形であった阿紫花が奮い立たされ道化に復帰する一方、観客に戻る者もいます。誰あろう、しろがね。思えば彼女にとってこの序章は、塗り固めて作られた人形使い≒人形という仮面を剥がしていくものでした。硬い表情が勝の前では柔らかくなる。鳴海との衝突と、掘り起こされる過去から見えてくる道化として――人間として欠落してしまっているもの。だから彼女はここで道化を装う前に観客に戻らなければならない。鳴海の心に、行動に魅せられ、足を負傷し事態を見守ることしかできない彼女は正しく観客でした。
そして、鳴海は道化に戻って炎の中に消えます。その右腕はしろがねという観客を守るために。その左腕は勝という観客を守るために。両腕それぞれいっぱいに2人を抱きしめた彼はやっぱり2人を笑顔にはできないけれど、笑顔の大切さだけは伝えることができる。それはピエロにならなかった道化・加藤鳴海の1番の「芸」であるように感じました。
さて鳴海の独演を見終えた勝としろがねの立つ次なる舞台は。来週の新章を待ちたいと思います。
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