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道化の踊る舞台を探せ――「からくりサーカス」5話感想


 居場所を求めて。



からくりサーカス 第5話「サーカス〜出発」
©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
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 「からくりサーカス」5話を視聴。今回は鳴海が去ったことで残された勝としろがねが、落ち着ける場所を求めるものであったように感じました。

 血に塗れた場所から帰還した2人は埋没し目立たぬよう心がけますが、2人に刻まれたものはそれを許してくれません。勝の受けた傷は学校でのいじめなど物の数ともさせなくしているし、体の傷はその経験の強さを隠せない。しろがねは授業をほっぽり出して勝を見守るし、身につけた技能は嫌でも生徒達の注目を集める。日常のトラブルは彼らの中で逆に埋没してしまうものであり、一言で言ってしまえば勝達の住む世界はそことは違ってしまっているのです。ですがそれは先週までの世界に戻りたいということにはもちろんならないし、ならば日常とはまた別に落ち着ける場所を探さなければならない――ゆえに2人はサーカスにたどり着くのです。

 サーカスの世界ではしろがねの身体能力もそれで目立つこともむしろ自然。楽しいサーカスの中なら勝の笑顔は「何やっても堪えない笑顔」でも「少年離れした強い笑顔」でもなく自然なものになる。それはきっと「皆を感動させ、笑顔にしてくれる」側のサーカスの住人だった鳴海が、前回まで2人の心を温めていたのと近い力を持つ場所なのでしょう。そして2人が訪れたことは、潰れかけのサーカスという崩壊しかけた場所の再興にも繋がる。場所は見つけるものであり、同時にしばしば勝ち取るものなのだろうと思います。日常と非日常の境界にあるとも言えるサーカスが勝達、そして仲町サーカスにどのような影響を与えるのか、捉え直すのが楽しみです。


 さて、今回も以下は感じた「筋」とは別の話。拒否感を抱く方もおられると思いますので、興味のない方は読み飛ばしてください。

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 勝は前回までの事件を通して精神的に相当に打たれ強くなりました。「それに比べれば、どんなにいじめられたってなんでもないんだ」と言えるくらいに。確かに勝ほど強烈な体験をした小学生なんて絶無でしょうし、世の中には想像を絶する苦悩や心痛というものはあるでしょう。でも、それはより小さな苦痛を大したことはないと言えるものではないように思います。

猿田佐世「安田純平さんへの自己責任論がイラク人質事件の時より悪質になった理由」AERA dot.

 2004年のイラク人質事件では人質になった日本人は帰国後に多くのバッシングを受けました。「バカ」「死ね」「自作自演」「帰ってこなければよかったのに」といったハガキや手紙を受け取ったり、知らない人に突然殴られたことすら。彼らへの非難が正当か不当かは僕には判断しかねます。けれど3人は、イラクでの拘束状態よりも、帰国後の日本のバッシングの方がつらいとすら口にしていたそうです。(しろがねが鳴海との一件で笑えなくなったように)直接的な命の危険より精神的な苦痛の方が勝ったりあとを引くことはしばしばあるし、一方がより重いからもう片方はどうでもいい、とは言えないでしょう。
 もし一方的な苦痛を受け続けて悩んでいる人がいたら、この作品を見て「勝に比べたら大したことない、落ち込んじゃいけない」とか、あるいは「言い返せない自分も悪い」なんて感じる必要はないと思います。あなたが受けているそれはきっと「絶対的に辛い」のだし「苦痛を与える人の罪が相手の反応で軽減されるわけがない」。力の有無もその形も、善悪理非とは全く別のことです。
 鳴海そっくりの強さは目指さなくていいし、勝そっくりの強さも目指さなくていい。あなたにはあなたなりの強さの形がきっとある。僕はそう思います。

関連:
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からくりサーカス 感想リスト

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からくりサーカス 第2話「約束」
からくりサーカス 第3話「奈落」
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