道化は人あらざるふりをする――「からくりサーカス」6話感想
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ああ、やっぱりジョージの出番は無いのか……と思ったらキャラクターリストに載ってるうぅぅぅ!
からくりサーカス 第6話「地獄」
©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン



「からくりサーカス」6話を視聴。今回は鳴海を「皆を感動させ、笑顔にしてくれるサーカス」から「人々を恐怖のどん底に突き落とす、もう1つのサーカス」へと移籍させんとするお話なのではないかと感じました。
子供を尋問するルシール達や、薬で強制的に自分達の副交感神経をリラックスさせる医者達を鳴海は非人間と非難します。砂漠に隔離された病院の中、「人間」はゾナハ病の子供達しかいない――残酷なことに、ここではゾナハ病はむしろ人間であることを証明するアイコンとなっています。しかし同時に、ゾナハ病は人々に人間で居続けることを許しません。しろがねにはアクア・ウイタエの選択的投与を迫り、医者達には常に笑顔でいることを強制し、子供達を死ねず身動きできず寝床すら必要とさせない「人形」にすらする。そして、ゾナハ病というアイコンを奪われた鳴海もまた、人間であることを否定されていきます。
鳴海は「皆を感動させ、笑顔にしてくれるサーカス」に所属する者であり、それを以て勝を感動させ笑顔にしました。けれど相手を笑顔にすることは、道化たる自分ではなく観客たる子供達がゾナハ病患者であるここではその力は慰めにしかなれないし、自分には慰めにすらならない。ここで求められるのは子供達を笑顔にした演武(見せ物)としての拳法ではなく、血の通わぬ不死身のオートマータの体液を爆発的に振動させ人のように殺す拳法です。「人々を恐怖のどん底に突き落とす、もう1つのサーカス」です。そのサーカスの道化となるために、医者もしろがねも鳴海も、「人間」は自分の大切なものを隠さなければならない。
まさしくそれは地獄なのでしょう。しかし隠すことは失うことと同義ではなく、にも関わらず鳴海は確かにいくつもの大切なものを失ってもいる。どうやら地獄は地獄でも、ここは一丁目に過ぎないようです。
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