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相互理解の先のトライアングルへ――機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)感想


 ナラティブガンダムの表現が色々面白かったです。



機動戦士ガンダムNT
© 創通・サンライズ

 「機動戦士ガンダムNT」を視聴。「嘘を本当にすることは1人ではできない。2人でも届かない。けれど3人ならできるかもしれない」ということ、そしてそのために必要なものを考える話だったのかな、と思います。

 主人公であるヨナはミシェルに「嘘をつくのが下手」と言われますが、それは彼が乗るナラティブガンダムにしても同様です。初登場の時点で重装備に身を包んでいるがすぐに破損するし、次にオプションとしたB装備が使用するのは有線攻撃端末でパイロットが強化人間ですらない事が分かる(「ファンネル!」よろしく「インコム!」と叫ばせる脚本の意地悪さよ)。オプションを外したナラティブガンダムが痩せっぽちと評されるのは、パイロットとしても中の上に過ぎないヨナの馬脚が現われるのと同じことです。

 一方のミシェルはヨナに対して「あんたよりはマシ」と言うように、彼よりはよほど上手く嘘をつき続けてきました。ヨナを騙してリタを生贄に捧げ、易経でニュータイプを装い、フェネクスが手に入れば死を超越できるとうそぶく。しかし彼女の本質もまた痩せっぽちであり、周到な策が成功する(=本物になる)ことはありませんでした。

 そしてそれは、フェネクスに取り込まれていたリタですら例外ではありません。彼女は確かにニュータイプの素養に秀でてはいたが、彼女だけではコロニー落としから街の人を救うなどという奇蹟(嘘を本当にすること)は成し遂げられなかったことが劇中で語られます。彼女もまた、痩せっぽちだったのです。

 1人では嘘を本当にすることはできない。そのことはヨナとミシェルと共に、敵役であるゾルタンが破壊的に証明しています。シャア・アズナブルという「1人」の再来を期待されるも遠く及ばず、部隊の実際の指揮は階級が下の部下が行っている有様。その嘘が、欺瞞がゾルタンには許せない。だから彼はⅡネオ・ジオングというオプションを着飾って嘘も本当もなにもかもを破壊してしまおうとする。そして彼にはそれは実現できず、破滅だけが待っている。


 嘘を本当にすることは1人ではできない。2人でも届かない(ナラティブとフェネクスだけでは事態を打開できない)。けれど3人ならできるかもしれない。砕けたペンダントが集まるようにヨナ、ミシェル、リタの力はフェネクスに集いますが、そこに至るには3人ともが「痩せっぽち」であることが明かされる必要がありました。嘘が嘘であることを明らかにし、生身を晒す必要がありました。それを象徴するようにナラティブガンダムは戦闘の度に素体に近付き、ヨナは最後には身一つになります。
 嘘を本当にするためには、嘘を明らかにしなければならない。それは矛盾でしょうか? いいえ、そうではありません。だって砕けたペンダントだって、痛みと幸せという相反する記憶を蓄積しているのですから。
 ニュータイプが人と人が誤解なく分かりあえるようになる嘘だと言うなら、それを本当にするには「私とあなた」だけでは足りない。3人に、もっとたくさんに広げてそれぞれが「誤解なく分かりあえる」ように努めなければならない。私は私を素体のようにさらけ出さなければならない。それは、相互理解の1つ先の姿と言えるのかもしれません。

 ペンダントは再び別れ、フェネクスは飛んでいく。バナージが言うように、嘘を本当にするのは遥かに遠い先にあることです。しかし3人の中でもっとも非才な(=私達に近い)リタが主人公としてそれを背負えたことこそは、それがいつか叶えられる希望であるように感じました。
 さて、ガンダムの新作は今後もあれこれと控えているようで。個々の作品をまたいで何を見せてくれるのか、楽しみに待ちたいと思います。

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2 Comments

MITSUKI  

久しぶりにコメントを。ナラティブ見てきましたが、いやあ面白かった。
欲をいえば、2時間は欲しかったかな(でも90分でうまくまとまっていたと思います)。
発表された当初はネオジオング出るとか予想できませんでしたが(苦笑)

NTはまだ公開初日ですけども、40周年で21日にガンダムの発表があり
今後もGレコ劇場版、閃光のハサウェイ、ビルドシリーズ新作に加え、
ガンダム00も続編やオルフェンズの新企画もあるようで、来年以降も
ガンダムシリーズは展開が多いということで、今から楽しみです。

そういえば秋アニメも残すところ1ヶ月ですね・・・。
来期アニメを調べてましたら、ロボアニメが一つあったので報告を。
「エガオノダイカ」という作品です。来期視聴検討の際にご参考にどうぞ。

2018/11/30 (Fri) 13:14 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>MITSUKIさん

>久しぶりにコメントを。ナラティブ見てきましたが、いやあ面白かった。
>欲をいえば、2時間は欲しかったかな(でも90分でうまくまとまっていたと思います)。
>発表された当初はネオジオング出るとか予想できませんでしたが(苦笑)
 コメントどもです。きれいにまとまってましたよね。ナラティブがオプションを失っていく勢いなども含めてこれくらいで良かったように思います。グスタフ・カールや折角の新規デザインのジェガンD型 護衛隊仕様の動くところはもっと見てみたかった気もしますが、やられ役だろうとアンクシャが再び映ってただけでも良しとしようかなw

>NTはまだ公開初日ですけども、40周年で21日にガンダムの発表があり
>今後もGレコ劇場版、閃光のハサウェイ、ビルドシリーズ新作に加え、
>ガンダム00も続編やオルフェンズの新企画もあるようで、来年以降も
>ガンダムシリーズは展開が多いということで、今から楽しみです。
 あれこれ動いてますよね。SDの新シリーズは子供を獲得できるか……? Gレコの劇場版は早く全てが見られるよう、気が急いてしまいます。

>来期アニメを調べてましたら、ロボアニメが一つあったので報告を。
>「エガオノダイカ」という作品です。来期視聴検討の際にご参考にどうぞ。
 情報ありがとうございます。タツノコプロの製作みたいですね。タイトルからすると結構重い話になるのかな。候補に入れておきます。

2018/12/01 (Sat) 00:10 | EDIT | REPLY |   

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