ねじれども過程――「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」9話感想
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主役ならやれやれ系を狙える器。
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第9話「ボスからの第一指令」
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/ 集英社・ジョジョの奇妙な冒険GW製作委員会



「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」9話を視聴。今回は原作約70ページ少々。話はミスタの銃創をフーゴがホッチキスで「応急処置」する場面から始まりますが、今回はそうした、本来の形ではないけど必要とされるものがよく描かれていたように感じました。
例えばブチャラティがポルポの財産を秘匿していたのは銀行の隠し金庫や島の洞窟などといったいかにもな場所ではなく、なんと便器の中でした。ミスタがバチ当たりなんて言ってしまうほど財宝には似つかわしくない場所ですが、安全性は納得のものです。組織も組織で、ギャングとしての本来のあがりなどといった形で得たものではなくとも金さえ納めてくれれば文句はない。百億リラがどれほどの悪徳によって積み立てられたものか分かりませんが、ブチャラティはそれを使って幹部の座にのし上がります。
組織の幹部であるペリーコロさんが連れてきたトリッシュの父親はボスであり、ボスを倒そうとしているブチャラティやジョルノがボスに利することをするのは本来の彼らの行動とは反するものです。しかし彼女を守ればボスとの繋がりができるのだから、そうであっても護衛は彼らに必要な任務になる。本来の形ではないけど必要とされるものを行う時、清濁や善悪といったものはしばしば入れ替わります。
本来の形ではないけど必要とされるもの。それを行う時の心境とはすなわち「しょうがねーな」です。なかなか尻尾を出さないナランチャに痺れを切らしたホルマジオは尾行とは違う形でトリッシュの行方を捜そうとすることで、家から出られない理由があるから自分で買わない(本来の形ではない)女ものの買い物に確信を得ます。「しょうがねーな」が口癖のホルマジオには「本来の形ではないけど必要とされるもの」を行うためのタフネスがある。
ナランチャもまた、尾行されずに買い物するという命令を果たすため、尾行されないという本来の形ではなく尾行してきた相手を殺すという形でそれを行おうとします。果たして、どちらが見えない道すじを繋げられるのか。ホルマジオも結構好きなキャラなので、来週のバトルが楽しみです。
さて、原作との違いで今回印象的だった部分は
<素手でトイレ掃除はやめましょう>

トイレを切開するのはスタンドですが、アニメではブチャラティが手袋を付ける様子が追加。トイレだから、で笑ってもいいでしょうが、登場時は素手だったペリーコロさんも手袋付けて鑑定している点から見れば指紋をつけないためなのでしょうね。バチ当たりな形で保管されていたお宝に「本来あるべき」敬意を持って接する姿とも言えるかな。
<気さくなペリーコロさん>

原作でもギャング組織の幹部にも関わらず恐怖より誠実さを感じさせていたペリーコロさん。アニメではより親しみやすくなっていました。新入りのジョルノを気にかけ「ペリーコロさん」と呼ぶよう促したり、百億リラの財産をもうちょっと見ていたがるナランチャ達に笑って返したり。トリッシュは何も知らない小娘に過ぎないのに、と身を案じる様子も追加され、人柄の良さが強調されています。
<チラ見せホルマジオの仲間達>


ホルマジオがポルポの死を知る場面は原作ではPCの黒い画面に文字が映るだけでしたが、アニメではチャット形式に変更。プロシュート、イルーゾォ、ギアッチョの名前が表示され他のメンバーもちらりと画面に。ファンにはたまらないアニオリですね。
<フーゴのリアクション>


ペリーコロさんへの礼儀をツッコむ、トリッシュにハンカチにされた上着を地面に叩きつけるといったリアクションが追加。彼がナランチャに渡す車のキーには人形のおもちゃがついていましたが、これは「子供のお使い」っぽさの強調かしらん。
この他、ホルマジオが車に乗る様子のカット、ホルマジオが最初の一撃を決める前にナランチャを引っかけるアニオリが追加、ラストの締めにするためにナランチャの台詞が移動するなど、ナランチャとホルマジオのやりとりは全体にアニメ向けにブラッシュアップされていました。
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