鍵と鍵穴の仲――「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」14話感想

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ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第14話「フィレンツェ行き超特急」
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/ 集英社・ジョジョの奇妙な冒険GW製作委員会



　「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」14話を視聴。今回も原作約80ページ分。ブチャラティはゲットした鍵に合う錠や扉が無いことに困惑しますが、現代では車も扉も「入れて回す」という形を取らないものも多く、にも関わらずそれらは相変わらず鍵と呼ばれる。鍵の本質とは「組み合わせで力を発揮する」ことにあります。今回はそれが多く描かれていたように感じました。


　例えば冒頭のナランチャの鍵投げは健康な状態であれば何の問題もない出来事ですが、腕を一度切断されたばかりのアバッキオを組み合わせると激痛を伴う行為になってしまう。トリッシュの心情を慮るフーゴの視線もミスタと組み合わされば性欲に変わってしまい、おまけにラッキースケベは意図的な行為のようにされてしまいます。組み合わせには個々が持つものを踏み越える力があり、それによって事態は思わぬ方向へ進展する。

　組み合わせを最大限に活かしているのはもちろん今回の敵の1人プロシュート兄貴であり、スタンド「ザ・グレイトフル・デッド」は老化という誰にも訪れる現象に超特急の加速を組み合わせることで攻撃に変えてしまいます。また単独行動をしていたホルマジオやイルーゾォとは異なり、ペッシという弟分と自分を組み合わせることでその行動をより融通の効くものにもしている。マンモーニ（ママっ子）のペッシが1人でブチャラティに襲いかかっても大した脅威にならないでしょうから、ペッシ自身にとってもその恩恵は相当なものです。本編ではバラバラに行動した暗殺チームの繋がりがファンの間で色々妄想されるのは、この2人の関係性が刺激になった部分が大きいのではないかと思います。

　もちろん冒頭でアバッキオやフーゴが困ったように、組み合わせとはプラスにもマイナスにも働くものです。亀とスタンドという組み合わせはプロシュート達の想像を飛び越えてブチャラティの行方を確定させないし、ペッシはプロシュートのスタンドの恐ろしさを知っているからその真実に近づくチャンスを逃してしまう。ギャングではないトリッシュを抱えたブチャラティ達は列車を飛び降りることができない。体温によって老化速度を変えることでトリッシュを殺さずに済む「ザ・グレイトフル・デッド」の強みは敵に氷を使って対処される危険と組み合わさっているし、一方で氷と老化対処の組み合わせは誰が氷を持つか選択を強いられることにも繋がっている。
　そして、全体デバフ系のプロシュートのスタンドだけが先んじて発動したことは「敵は1人」という思い込みを生み、組み合わせの相方であるペッシは見事にミスタを釣り上げました。さてさて、暗殺チーム戦の中でも特に強い印象を放っているこのザ・グレイトフル・デッド編、次回も楽しみです。


＜キャプテン翼やってるぜ＞

　トレンド入りするレベルで皆ツッコんでるみたいですが、原作では亀の中にテレビも用意されておりキャプテン翼が放映されていたのですがアニメではカット。


©高橋陽一／集英社・2018キャプテン翼製作委員会
　なお、TOKYO MXでの放送ではCMで「キャプテン翼　中学生編」のBlu-ray BOXの宣伝をしています。やっぱり「キャプテン翼やってるぜ」。

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