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人形が退場する時は――「からくりサーカス」14話感想


 この人形が自分を語った時、どれほど楽な気持ちになれたことだろうと想像を馳せたり。




からくりサーカス 第14話「夜更けの海」
©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
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 「からくりサーカス」14話を視聴。しろがねとの再会において鳴海は初対面と語ります。それは記憶喪失ゆえですが、半ば事実でもあります。しろがねが鳴海に笑い方を教えてもらい新たな生命をもらったのと同じように、鳴海も「しろがね」の仲間達から受け継いだ体で新たな生命をもらった。今の鳴海はしろがねの知るかつての鳴海ではないのです。そして彼が自分の身に受け継いだのは体だけではない。

 激闘の末にたどり着いたフランシーヌ人形の正体は、自分に疲れた本物のフランシーヌ人形が代わりとして作り上げた人形でした。同一の存在ではないが同じように振る舞う。それは白銀の知識や感情を溶かし込まれた「しろがね」と何が違うのでしょう? 長い時間の末、フランシーヌ同様に振る舞うことにこれまたフランシーヌ人形同様に疲れた人形は歯車の音を立てながらぎこちない動きを見せます。それは「しろがね」が人間=自己を取り戻すのと機を同じくして限界を迎えた体が結晶化するのと変わらぬものなのでしょう。鳴海と同じ思いを抱くことで自分になったロッケンフィールド達と同じように、人形もまたフランシーヌ人形と同じ思いを抱くことで自分になったのでした。
 なぜ、人形は人形でなくなったら舞台にいられなくなるのか。それは僕には未だ掴めないことですが、確かなことは彼らの残したものが鳴海を人形にしていくということです。体がからくりになるというだけのことではなく、その思いが、残したものが鳴海を縛り付けて操っていく。フランシーヌを模した人形もまた、その正体が鳴海を縛り付け、受け継がれた「疲れ」は鳴海を蝕んでいく。人形の首を斬ったビジョンは、本物のフランシーヌ人形(しろがね)の首もまた斬らねばならないという思いに繋がっていく。

 仲間達の死に、鳴海は銀に染まった右の瞳を開いて涙を流しました。それを背負ってしろがねの首を斬ろうとした鳴海の、黒のままの左の瞳もまた涙を流しました。ことほどさように自他のバランスを欠いた鳴海の体は、しかしアルレッキーノの言葉を否定する時だけは両の目で涙を流します。「死ぬほどの目にあっても、にっこり笑えるからきれいなのさ」……今の鳴海は笑いません。笑えません。しろがねに笑い方を教えた彼が。彼が自分を取り戻すのは、いったいどんな時でしょうか。

関連:
うしおととら(アニメ・原作漫画・小説) 感想リスト

からくりサーカス 感想リスト

からくりサーカス 第1話「開幕ベル」
からくりサーカス 第2話「約束」
からくりサーカス 第3話「奈落」
からくりサーカス 第4話「コラン」
からくりサーカス 第5話「サーカス〜出発」
からくりサーカス 第6話「地獄」
からくりサーカス 第7話「Demonic」
からくりサーカス 第8話「一瞬の始まりと終わり」
からくりサーカス 第9話「記憶」
からくりサーカス 第10話「フランシーヌ」
からくりサーカス 第11話「ファンファーレ」
からくりサーカス 第12話「「顔無し」司令」

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2 Comments

towa  

こんばんは。1クール目の感想拝見しました!

アニメは個人的に7話が好きなんですが、闇鍋さんの感想も7話が特に面白かったです!挫折が道化を生むというのは面白かったです。戦いを芸に例えているのも。
原作から鳴海は戦う自分を道化に例えますがそれは他のキャラクターも同じという事で、7話は色々な対比が描かれていましたけど、自分は気づかなかったけれど鳴海とヴィルマも対比(というか共通項を持つ存在という方がいいでしょうか…?)だったのですね。「本来なら章をまたぐことで隠れてしまいがちな対比が見える」のは本当にアニメならではですね。

序章である1~4話の感想では観客と道化が入れ替わり立ち代わりしているのが言及されていてこれも面白かったです。私もローリングアームズ好きです!個人的にはアクエリアス好きなんだけどカットされてしまいました悲しい。技が面白いですよねあれ。羽佐間さんみたいな人が使ってるのがまた良い。

闇鍋さんの感想拝見すると本当に整理されてて、読んでいてお話の構造がすんなり解りますね。2,3クール目の感想も楽しみにしております!

2019/01/21 (Mon) 02:06 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>towaさん

>アニメは個人的に7話が好きなんですが、闇鍋さんの感想も7話が特に面白かったです!挫折が道化を生むというのは面白かったです。戦いを芸に例えているのも。
 ありがとうございます。この作品においては「見ている者」というのも大事な視点であるように思います。つまり見られているものがしているのは芸であり、鳴海はしろがね達の前で道化をやった、と考えても良かったのかもしれません。道化は初期こそ感想のタイトルにも縛りの如く入れていたものの途絶えてしまっていたのですが、もう一度視点に取り戻せるような気がしてきました。重ねてありがとうございます。

>私もローリングアームズ好きです!個人的にはアクエリアス好きなんだけどカットされてしまいました悲しい。技が面白いですよねあれ。羽佐間さんみたいな人が使ってるのがまた良い。
 アクエリアスなんかはアシスタントさんのアイディアなのでしたっけ。原作でもネタにされるほどちょっとしか出番が無いのがもったいないくらい個性的でしたよね。妙に印象に残ってます。

>闇鍋さんの感想拝見すると本当に整理されてて、読んでいてお話の構造がすんなり解りますね。2,3クール目の感想も楽しみにしております!
 基本的には1話1話のテーマ中心に書いてますが、それらに糸が通っているならありがたい限りです。2,3クール目も一緒に楽しんでいきましょう。

2019/01/21 (Mon) 21:49 | EDIT | REPLY |   

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