過ちて新たな道に至り――「コードギアス 復活のルルーシュ」感想

ルルーシュの機体乗り換えも「元に戻るようで少し違う」内かな。本文では触れてないけどバトルももちろん見応えありました。
コードギアス 復活のルルーシュ
©SUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design ©2006-2018 CLAMP・ST
「コードギアス 復活のルルーシュ」を視聴。TVシリーズを一部変更した劇場版3部作からの新作という変則的なスタイルをとった本作でしたが、満を持して公開されたそれはその変則性にとても自覚的であると感じました。
ジルクスタン王国を治めるシャムナの持つギアスは「自分だけが6時間以内の過去に戻る」。その能力を彼女は「預言」として活用し、ルルーシュの知略にしてやられた過去を書き換えてみせます。過去に戻り書き換えるとはつまり劇場版がしてきたことであり、それを視聴した私達はシャムナのギアスを体験しているようなものだと言えます。
ルルーシュは過去をやり直す(間違えた過去をやり直す)シャムナを「違うな。間違っているぞ」と否定し、犯した過ちや間違いを受け入れると宣言するわけですが――このロジックがちょっとズルいくらいなのですよね。犯した過ちや間違いを受け入れるというならば、シャムナの間違ったやり方すら全ては否定されないのですから。事実、シャムナのギアスじみた手法で蘇ったルルーシュこそは過ちや間違いの象徴です。だからこそルルーシュは自分が蘇った過ちを消し去ろうと自死を選んだりはしません。自分が生きていることを公表し間違いを正解に変えたりもしません。自分が生きているのは過ちであり、しかし事実である。それを受け入れて彼は新たな道を模索するのです。
死んでいた者が生き返る。それはある意味で元に戻ったということであり、ルルーシュの復活に限らず元に戻るものは多々見受けられます。C.C.とカレンの再会、ナナリーを救出するために再び集まった皆の「結団式」、ナイトギガフォートレス形態から通常のKMFに戻るランスロットと紅蓮、結局は一緒にいられないルルーシュとナナリーなど……しかしやり直した結果が以前と違っているように、元に戻るように見えるものもそれらは全てが過去と同じではありません。C.C.とカレン(と咲世子)が再会しても今度の事件ではロイドも同行していたり、結団式にはかつてのブリタニア側の面々もいたり、通常のKMFに戻ることは逆転の布石であったり、今度のルルーシュとナナリーの別れは互いが納得してものであったり…… そして物語は、C.C.が不完全なルルーシュを連れていた時と同じように2人旅の形に戻りながら、しかし今度はルルーシュとC.C.が互いに手を繋いで歩んでいく姿に変わります。やり直したこの物語が過ちだとしても、それはやり直す前も後も全てが否定されるわけではない。そういう終わりだったのではないかな、と思います。
劇場版3部作の存在そのものが本作の構造のための盛大な策であったというのは、なんともルルーシュらしい物語だったのではないでしょうかね。面白い仕掛けを見られたことに感謝したいと思います。
それにしても相変わらずカレンは全身くまなくドスケベでした。画面に映るとどうしても視線が彼女を追いかけ回してしまって困る……って皇道の時にも書きましたが、だって事実ドスケベなんだもの仕方ない。
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