音のない声、音を聞かない耳――「どろろ」6話感想
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仕事に向かうミオにどろろが「道」の真ん中を譲る仕草に、「偉い」って気持ちが出ていてなんとも言えず……
どろろ 第6話「守小唄の巻・下」
どろろ ©手塚プロダクション/ツインエンジン

「どろろ」6話を視聴。別れ際の琵琶丸の言葉に、どろろは百鬼丸の無言の声を知る。無言もまた声であり、それは聞くものが耳を貸さねば分からないし異なる姿で届くこともある。耳は時に、聞こえぬものも言っていないはずのものも聞く。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年2月13日
景光も縫の方も、失った長子のことはおくびにも出さない。しかし多宝丸は彼らの無言の中にそれを聞き、わだかまりを重ねていく。同時に自分が確かに愛されている事も無言から感じるからこそ、部下達から向けられた表情、あるいは一度の言葉でその重みを聞くことができる。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年2月13日
無言の声は聞き手の内に響くものであり、言葉通りに届くとは限らない。ミオは百鬼丸の目に、どろろの目に自分は汚れていると言われているように聞き誤る。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年2月13日
ミオは泣きそうになったら泣く代わりに歌う。彼女が体を売る時に歌う歌という無言の泣き声を、男達の誰も聞かない。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年2月13日
それでも、無言の声はミオに届く。物言わぬ百鬼丸の手は自分を玩具にする男達と違う声を発し、体を売らなかった母は死んだというどろろの言葉にミオは自分が汚れて見られているのではないことを知る。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年2月13日
タケが拾ってきた刀を見る百鬼丸もまた、無言の声を聞く。同じ状況に陥れば鬼神は再び足を狙う。その時に足が刃であれば……という可能性の声を百鬼丸は聞いたのだ。そして止んだ雨に、景光は鬼神がまた倒されたという無言の声を聞く。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年2月13日
そして両軍の陣に体を売ったミオを、醍醐の侍は密偵の疑いありとして子供もろとも斬り殺す。もちろんそんな事実はない。彼らが聞いたのもまた無言の声である。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年2月13日
途切れる歌に、その無言に百鬼丸はミオの死を聞く。言語を発さぬ百鬼丸の叫びはこれ全て荒れ狂う無言の声であり、返り血は彼の魂の炎の色をありありとどろろに見せつける。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年2月13日
事切れたミオもまた、声を発することはない。しかしどろろは彼女の残した種籾にその声を(勝手に)聞く。百鬼丸もまた、種籾の黄金色の輝きにどろろの訴えるところを受け取る。種籾は無言だからこそ、無言の岸辺にひっかかる百鬼丸に万の言葉より届く。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年2月13日
そうして百鬼丸は初めてミオの名前を、明瞭な言語を発する。それは赤ん坊が発する初めての言葉だ。あなぐらにこもっていた獣は、人への道をまた一歩進めた。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年2月13日
どろろと百鬼丸の耳に、ミオの歌はもう届かない。けれどそれは空気の振動の形を取らずとも響き続けるだろう。耳に届かぬ無言の歌は2人が負けぬよう、その心にあぜ道を作るのだ。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年2月13日
関連:
どろろ 感想リスト
どろろ 第1話 「醍醐の巻」
どろろ 第2話 「万代の巻」
どろろ 第3話 「寿海の巻」
どろろ 第4話 「妖刀の巻」
どろろ 第5話 「守小唄の巻・上」

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