広がる共有、その変化――「からくりサーカス」17話感想
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今週も都合により更新前倒し。
からくりサーカス 第17話「訪れし者」
©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン



「からくりサーカス」17話を視聴。前回は土台として勝と正二の2人による過去の共有があったわけですが、今回はその場に新たにギイが加わります(正確には黒賀村の人もいるのだが、ここではキャラクターとしての人格は持たされていない)。つまり2人での共有が3人に広がって展開されたのが今回の回想なわけですが、そういう「訪れし者」の広がりが全体に見られる回であったように思います。
正二とアンジェリーナの出会いがそうであったように、共有とは多くの場合2人から始まります。婚姻の幸せ、人形に仕込んだお守り、懐妊の喜び、人形との出会い……しかしそれらは2人に留まらず伝播していきます。婚姻を我が事のように喜んでみせるディーン、お守りからアンジェリーナを知るフランシーヌ、アンジェリーナの懐妊を知るしろがねの本部、手紙によるフランシーヌとの出会いの連絡……そしてそれらはみな、共有されたものそのものに何らかの変化を与えています。
幼少期の描かれたギイにしてもそれは同様で、自分を捨てた母親の残したキャンディは彼と母親2人だけの占有的な共有物のはずでした。けれどアンジェリーナという3人目の存在が登場することで(同時にここでは、アンジェリーナとエレオノールの2人にギイを加える関係にもなっている)、キャンディは占有するのではなく他者に与えても構わない共有物へと変化する。
自分の味わった寂しさと同じものを他者に与えるのかと問われて戸惑うように。像を作ることが罪と教えられてそれが人形作りに波及するように。共有することは思わぬ変化をもたらします。柔らかい石を摘出するために学んだ医術は出産の手助けとなり、出産に立ち会うことはフランシーヌにとって思わぬ学びの場となる。2人が出産の場を共有したことによって、あるいは生まれることも息をすることもできなかったかもしれないエレオノールはこの世に生を受けることができました。そしてその共有は、共に造物主に捨てられたギイとフランシーヌ自身も変えていく。逆に言えば、共有できねば変化の可能性は失われてしまう――もし、もしこの場所を彼も共有できていたら、その先もまた何か変わっていたのでしょうか。
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