奪う者、守る者――「どろろ」10話感想
- CATEGORY: Wisp-Blog
- TAG: アニメ_2019年冬アニメ

その順逆。
どろろ 第10話「多宝丸の巻」
どろろ ©手塚プロダクション/ツインエンジン

「どろろ」10話を視聴。百鬼丸と多宝丸。兄弟なれどもか、それともなればこそか、対照的な2人を印象付ける話。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年3月13日
水中に潜み渦潮で人を捕え食らう蟹の化物のやり口は、百足同様に自分の道理を押し付け相手から奪い取るものだ。ならばそれに対する多宝丸の行動は、彼の精神的姿勢をも示す。綱を結び渦潮に飲まれまいとする彼の姿勢とは「奪わせまいとする」こと。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年3月13日
化物退治における彼のあり方は一貫している。脅かされる民を捨て置かず、兵庫達を捨て石にせず、竦む部下を下がらせ、刀で濁流に耐える。彼は奪わせない。それは醍醐の地を立て直した景光の息子という誇りからであるし、彼は何よりそれを奪われたくない。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年3月13日
化物への多宝丸の最後の一太刀も、兵庫の命を奪わせまいとするものだった。かくて化物の命を「奪う」太刀は、百鬼丸に「奪われる」。百鬼丸とは奪う者だ。特に醍醐の地にとっては、豊かな恵みを奪う最悪の存在。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年3月13日
しかし、百鬼丸にとってみればそれは元々自分から奪われたものを取り返しているに過ぎない。生まれた時から豊かな地しか知らぬ多宝丸と、饅頭も知らない百鬼丸。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年3月13日
奪われた貧者は奪い返さんとし、奪った富者(およびそれを受け継いだ者)は奪われまいとする。当然の応酬、当然の対立がそこには待っているだろう。しかし、それはどちらかが正しさを持ち得るものなのだろうか。2人は2人のまま、同じものを斬ったのだ。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年3月13日
どろろ10話追記。「奪わせまいとする者」多宝丸だが、謎の赤子という自分から奪われたものについては、自白剤という真実を「奪う」手段を否定しない。そういう意味で、百鬼丸と多宝丸は対照的であるほど似ている。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年3月13日
関連:
どろろ 感想リスト
どろろ 第1話 「醍醐の巻」
どろろ 第2話 「万代の巻」
どろろ 第3話 「寿海の巻」
どろろ 第4話 「妖刀の巻」
どろろ 第5話 「守小唄の巻・上」
どろろ 第6話 「守小唄の巻・下」
どろろ 第7話 「絡新婦の巻」
どろろ 第8話 「さるの巻」
どろろ 第9話 「無残帳の巻」 *感想お休みのため欠番

にほんブログ村