見えない世界に垂れる糸――「ゲゲゲの鬼太郎(6期)」48話感想
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それは本当に蜘蛛の糸ですか?
ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第48話「絶望と漆黒の虚無」
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション



「ゲゲゲの鬼太郎」6期48話を視聴。何故ねこ娘がまなの母を襲ったのか、何故まながねこ娘を消滅させたのか。たびたび引用しているように「見えてる世界がすべてじゃない」は本作のキャッチフレーズですが、今回の話では誰もが「見えない世界」に放り出されています。
何が正しいのか、自分はどうしたらいいのか。指針がなければ判断も行動もできない。「見えない世界」とは不安なものです。そういう時、人はかすかに見えるものを頼りにしようとする。それを元に真実を手繰り寄せようとするわけですが――それはしばしば思い込みであり、思い込みが見せる幻影です。
「まなは自分の力を知っていたのじゃないか」「知っていたらねこ娘の話も聞かず消滅させていたのではないか」「お母さんはもう駄目だ、助からない」……普段ならけして望まぬことも、何も決められない不安の中では心のどこかでそう願ってすらしまう。見えない世界がもたらす恐怖とは、それほど大きなものです。試験に受かったかどうか見当もつかない時、一時的にでも「駄目に決まっている」と思うことでむしろ心を落ち着けようとしてしまう心理などはそれに近いものかもしれません(こういう心理って何か学術的な名前はあるのだろうか?)。
そうした「見えない世界」への恐怖は誰であっても抗いがたいものです。例え人間をできるだけ信じてくれるヒーローであっても。例え妖怪であっても恐れず近づく少女でも。例えそれによって友情の育まれた間柄であったとしても。それは見えている良き関係だけでは推し量れぬ、見えない落とし穴なのでしょう。彼らですら陥るものなのですから、ましてや私達に至っては。
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