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内なる未知――「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」24話感想


 遅くなりましたm(_ _)m



ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第24話「ノトーリアス・B・I・G」
©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/ 集英社・ジョジョの奇妙な冒険GW製作委員会
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 「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」24話を視聴。原作約80ページ分。空港での警備員とのやり取りなど飛行機の奪取及び発進に関する描写がカットされていることもあって、カルネの死亡が本当に早く感じられます。演じているのは阪口大助ですが、これ今後のノトーリアス・B・I・Gのうめき声なんかも該当するんだろうか……


 ボスの正体を掴むためにブチャラティが選択した移動手段は、車でも鉄道でもなく飛行機でした。サルディニア島へは海を渡る必要がある、飛行機は移動速度が早い、仲間全員が乗れるものも選べるといったのも飛行機を選んだ一因ではあるでしょうが、最大の理由は飛行機の性能に触れた直後に語られています。

ブチャラティ「一度飛び立てば そんな距離をそのようなスピードと力(パワー)で 地上から遠隔操作できるスタンド使いなど存在しないッ!」

 飛行機に乗るのがもっとも安全だ、と彼は言っているわけですね。「高度数千から一万メートル上空を時速800キロものスピードで滑空する!」飛行機の中は、ブチャラティ達が追手に備える必要性から解放される、自分の家や部屋のような空間になりうるのです。


 人間は外にある時、常に危険に遭遇する可能性を想定しなければなりません。ギャングのような殺し殺されるほどのものではなくとも、自分を見る他者の目線や他者が巻き起こすトラブルに巻き込まれないかといった懸念などは多くの人が内にいる時より強く意識しているはずです。外にあるのは多くの未知のものが存在し、それは自分では御しきれない。対して自分の家や部屋の中といった内側は基本的に既知のもので満たされているから、制御も容易になり警戒が不要になっていくわけです。

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*カルネの死体を確認する時、エアロスミスはジョルノがちょうどはみ出るラインを旋回する。円に囲まれたのが「内」、ジョルノが踏み出しているのは警戒せねばならない「外」。敢えて外に出る行為を、ミスタは好まない。

 しかし内側は全てが制御できる場所ではありません。包丁で指を切ったり、コレクションがどこかに行ってしまったりと予期せぬ(制御できぬ)事態とは自分の家や部屋の中でも平気で起きるものです。確かに内は既知の割合が強い。しかし内にだって未知は存在する。

 例えば「INSをセットすれば飛行機は自動的に、安全に目的地へ飛べる」というアバッキオの知識は映画で得たものあって、その内側には「INSがどこかは探さなければならない」という未知が隠れています。例えばジョルノは飛行機の中の落書きを誰が書いたのかと訝しみましたが、それをしたのは自分だった(自分が知らない内に敵に腕を喰われ落書きをされていた)という未知に愕然とします。ノトーリアス・B・I・Gの能力は今までの常識を越えるものでしたがスタンド以外の別のものではなく、つまりブチャラティやジョルノが知悉しているはずのスタンドのあり方にまだ未知の領域が残されているということでした。内にだって未知は存在するというより、内にこそ未知が存在するとすら言ってもいいのかもしれません。そして、その未知をもっとも抱えている存在こそは今回スポットの当たったトリッシュです。

 自らの意思で旅にへの参加を決めたトリッシュはしかしギャングではなくボスの血を引く人間であり、その感覚はけしてブチャラティと同じものではありません。個人ではなくブチャラティ一行を単位とした時、トリッシュは一行の中の未知の存在です。ボスに繋がる情報を引き出せる可能性のある唯一の人間であり、彼女の中のその未知はブチャラティ達にとって希望や指針となっている。同時に、一行をトリッシュをベースに見ればブチャラティやジョルノ達もまた未知の存在です。

トリッシュ「あたしは…自分だけのためにサルディニアに向かってる…(中略)でもジョルノ達は違う…自分の未来や安全よりも…「正しい」と信じることのために行動している……… あたしには…とても理解できないわ………」


 トリッシュの情報と言う未知がブチャラティの希望や指針になるように、未知とはけして危険だけを招くものではありません。3人の仲間が再起不能という事実が共有される飛行機の中では、てんとう虫のブローチによる回復の可能性(確定しない=未知)が提示されます。同時にそれが成せるかどうかはトリッシュの行動如何であり、これまで守られてきた彼女は単身でどうするのかという未知なる自分と向き合う必要にも迫られている。次週、彼女の内にあるその未知がどんなものなのかを楽しみに待ちたいと思います。

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*飛行機の客席では中央にラインが敷かれ、ブチャラティとトリッシュ、ジョルノとミスタはそれに遮られ意見を交換する。互いが互いにとって未知であり、それが事態を進行させる。ジョルノの腕になろうとするてんとう虫のブローチやその時のトリッシュがライン上にあることも含め、アニメではこのラインの視覚的役割が大きくなっていて興味を惹かれます。

関連:
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 感想リスト

2013年冬アニメ 視聴予定リスト(1部2部感想リスト)
ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース 感想リスト
ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない感想 リスト
「岸辺露伴は動かない」富豪村 ツイート感想

ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第1話「黄金体験(ゴールド・エクスペリエンス)」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第2話「ブチャラティが来る」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第3話「塀の中のギャングに会え」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第5話「ポルポの遺産を狙え!」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第6話「ムーディー・ブルースの逆襲」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第7話「セックス・ピストルズ登場 その1」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第8話「セックス・ピストルズ登場 その2」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第9話「ボスからの第一指令」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第10話「暗殺者(ヒットマン)チーム」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第11話「ナランチャのエアロスミス」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第12話「ボスからの第二指令」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第13話「マン・イン・ザ・ミラーとパープル・ヘイズ」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第14話「フィレンツェ行き超特急」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第15話「偉大なる死(ザ・グレイトフル・デッド) その1」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第16話「偉大なる死(ザ・グレイトフル・デッド) その2」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第17話「ベイビィ・フェイス」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第18話「ヴェネツィアに向かえ!」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第19話「ホワイト・アルバム」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第20話「ボスよりの最終指令」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第21話「キング・クリムゾンの謎」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第22話「ガッツの「G」」
ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 第23話「クラッシュとトーキング・ヘッド」

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2 Comments

towa  

こんばんは。遅まきながら拝見しましたが、闇鍋さんの5部感想、毎回がすごい力作ですね!自分じゃ全然気づかないようなところも沢山拝見できてありがたいです。

改変についての言及は、アニメがアニメとして見やすく整理されてることを改めて感じました。私にはとても言及ができないのでとても参考になりますし素晴らしいです。アニメに興味のない原作のファンの人が仮にいたとして、この感想を読んだら観てみる気になりそうですね。

もうひとつ、視聴者にキャラの心理や行動を納得させるのはただ状況を描くだけではなく、『間』であったり、色や物の配置等も含めた映像そのものからでもあるという事に多く言及されているように思いました。目から鱗です。

フーゴ関連の感想とても面白かったです!マンインザミラー戦見ごたえありましたね。フーゴが自分のスタンドを使いたがらないこと自体がフーゴの性格をあらわしてますよね。アニメもそうですし他のスピンオフも、フーゴ関連の改変はフーゴの優しさを強調するような方向になっているのが面白いです。みんな考えること同じなんだなってw

闇鍋さんの感想拝見してたらもう一度見直したくなりましたw お疲れさまでした!先も楽しみにさせていただきます。

2019/04/05 (Fri) 21:12 | EDIT | REPLY |   

闇鍋はにわ  

>towaさん

 ありがとうございます。4部までのように1日潰れちゃう!って書き方はしてませんが、それでもエネルギーを使う感想なのは確かなので力作と言ってもらえると嬉しいです。

 原作との差異としては24話のエアロスミスの旋回範囲のような、つまりご指摘の「色や物の配置等も含めた映像そのものから〜」といった部分に吸収されていて以前ほど直接的な言及はしていませんが、時折ピンポイントで面白い部分があってそういうのはやはり触れたくなりますね。

 フーゴのあの回は去年の話数単位10選に選ぶくらいお気に入りでした。もともと好きなポジションのキャラではあったのですが、こんなに親近感を抱くとは思わなかったです。5部のスピンオフは発売時にあれこれと目を通しましたが、皆彼に触れたくなるところなんでしょうね。今読むとまた新発見がありそう……

 再視聴したい気分にまでなってくれたのなら、それは僕の感想で望める一番嬉しい反応の1つじゃないかなと思います。ありがとうございます。残り1クールも楽しんでいきましょう。

2019/04/06 (Sat) 14:29 | EDIT | REPLY |   

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