1人では取り戻せない――「どろろ」13話感想
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だから、触れてくれる他者が。
どろろ 第13話「白面不動の巻」
どろろ ©手塚プロダクション/ツインエンジン

「どろろ」13話を視聴。人はとかく立派なものを求めがちだけど、そればかりだと当たり前のものが見えなくなってしまう。その当たり前のものこそ大事……というお話だろうか。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年4月9日
家族から突き放された百鬼丸は、憑かれたようにあやかしを退治して回っていることが語られる。鬼神を退治し体を取り戻すのは立派な彼の目的だが、それは疲れという当たり前のものを見えなくしている。自分に対するどろろの気遣いも。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年4月9日
当たり前が見えなくなっているのは、献身的に百鬼丸の世話をするどろろも同様だ。どれだけ真っ白できれいな心の持ち主でも、どれだけへこたれないタフガールでも、どろろは幼子なのだ。献身はむしろそれを見えなくしてしまう。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年4月9日
そして、今回のゲストであるおかかもその点は変わらない。穏やかな顔の菩薩を彫ることで評判だった仏師は、人々を見返したい一心で菩薩を彫らず不動を彫ることに執心して死を迎えた。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年4月9日
それまで見たどの不動よりも「立派な」顔を作ってやる――しかし立派な顔は彫れない。仏師にとってそれは己の顔であり、顔を彫れない仏師は己を見失っている。百鬼丸もどろろも、己を見失っている。当たり前の己を、見失っている。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年4月9日
己の顔は己では見えない。己の顔を決めてくれるのは、己を取り戻させてくれるのは他者だ。百鬼丸は鬼神殺しだけではない己を、どろろはドジも踏む幼子である己を、おかかは不動ではなく菩薩を彫りたかった己を他者によって取り戻させてもらう。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年4月9日
温泉でどろろは、百鬼丸には見えないことを承知していながらも恥ずかしがる。羞恥は見られるだけで生ずるのではなく、他者に裸身をさらしているという意識からも生ずるからだ。そういう自意識は、他者の存在あってこそのものだ。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年4月9日
そしてどろろは同じく温泉にやってきた子供達、他者によって背中の地図という己の一部を知ることになる。それは2人の旅の行き先に、どのような変化を与えるのだろう。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年4月9日
倒したのが鬼神でなくとも何かを「取り戻す」様子が描かれる本作。今回取り戻すのが当たり前の自分であったのは、登場人物にも1週お休みした僕達視聴者にも良いリハビリだったように思います。おかかの死に顔に寂しくも満足さも感じた回でした。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年4月9日
関連:
どろろ 感想リスト
どろろ 第1話 「醍醐の巻」
どろろ 第2話 「万代の巻」
どろろ 第3話 「寿海の巻」
どろろ 第4話 「妖刀の巻」
どろろ 第5話 「守小唄の巻・上」
どろろ 第6話 「守小唄の巻・下」
どろろ 第7話 「絡新婦の巻」
どろろ 第8話 「さるの巻」
どろろ 第9話 「無残帳の巻」 *感想お休みのため欠番
どろろ 第10話 「多宝丸の巻」
どろろ 第11話 「ばんもんの巻・上」
どろろ 第12話 「ばんもんの巻・下」

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