顔無しに己が顔を見せる――「からくりサーカス」27話感想
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その方法は。
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帰省等により感想更新がしばらく不規則になります。すみません。遅れたものも追って更新予定です。
からくりサーカス 第27話「転送(ダウンロード)」
©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン



「からくりサーカス」27話を視聴。リーゼの笑顔に惑いまた鳴海の言葉を引用することで過去の自分と同じブリゲッラの発言を否定するアルレッキーノ、勝や鳴海と出会ったことで自分の命に未練を持つようになったことを語るしろがね。今回直接の接点がなくとも、2人の行動には共通点があります。それは「他者との出会いが、(人形であった)過去の自分を超えさせた」ということ。前回の感想で「他者との危険に身を晒すことは己の限界に挑むことであり、限界に挑むことは己を正視することでもある。」と書きましたがそれと連動させるなら、いやこれまでの話との地続きとして、今回は「過去の自分(=限界)を超えるには他者が必要である」ということが描かれています。
しろがねを救おうと奮闘する勝においてもそれは同様で、彼が超えるのは「人形を手にしたことで戦えるようになった自分」しかし「それだけではフェイスレスの野望を打ち砕けない自分」です。初めて自分で全て操ったあるるかんでレ・デルニエ・キャトルを突破できず、他者たるリーゼやコロンビーヌの援護によって先へ進める姿にもそれは象徴されている。
さらにはその波は、自分を信じ自分しか見ていないようなフェイスレスにまで伝播を始めています。いくら自分の全人格をダウンロードしたもう1人の自分であっても、考え方が同じであってもそれが今何を考えているのかは分からない。フェイスレスが行ったのは言わば自分の他者化であり、それは確かに彼に変化をもたらしている。目的のためなら古い自分の死など恐れなかったはずが反射的に生きようとし、今まで一度も成功したことのなかった「完璧なシナリオ」に自ら疑問を持つ。そのせめぎ合いは、確かに変化と言って良いものです。
さて、他者の自己化とも言うべきダウンロードに勝はどう抗い、そしてその他者と自分のせめぎ合いは勝にどのような変化を与えてくれるのか。次回も楽しみです。
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からくりサーカス 第6話「地獄」
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からくりサーカス 第9話「記憶」
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