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境目に患う――「からくりサーカス」29話感想


 おどけたじいさんの顔はもう見られない。



からくりサーカス 第29話「しろがねのやったこと」
©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
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 「からくりサーカス」29話を視聴。しろがねに辛く当たる人々をリーゼは、自分達が何もできない現実が怖いからしろがねに八つ当たりするのだと分析します。彼らはしろがね本人を見ているのではなく、彼女に自分を見ているに過ぎない。
 他人の中に自分を見ることは人間の持つ力であり、上手く使えばリーゼの対処法(歌)を自分にも適用したしろがねや同じ殺し屋同士であることをきっかけに距離を縮めるヴィルマと阿紫花のようなことももたらしますが、バランスを欠けば他者を自分の物差しで見ることしかできない狭量に繋がってしまう。それはアクア・ウイタエによって自分の中に他者を見る「しろがね」の逆であり、また自分の苛立ちで世界を壊してしまおうとするフェイスレスの長患いでもあります。兄に似た鳴海を前にすればにやけ顔が消えてしまうのも、そこに自分の苦しい記憶を見てしまうからなのでしょう。他人がリラックスしているかどうかが自分に影響する奇病をばらまく彼は、物理的に逃れたものにすらその呪いを付与している。自分と同じような人間を生み出すゾナハ病は、フェイスレスにとってのアクア・ウイタエなのかもしれません。

 バランスを取り戻すには、人は自分と他者の境界線を知らねばなりません。他者に自分を見るのではなく、他者に他者を見なければならない。だからミンシアは、命を賭して自らの血で人々を救うしろがねの姿に涙するのです。自分の知らぬ他者に自分の侵せぬ存在を見るのです。そして分け隔てた境界線のこちら側に、自分を取り戻すのです。

 そんな中で、鳴海だけは特殊な立場にあります。彼は他者に自分を見ているのではない。記憶を失い「しろがね」となり仲間の思いを取り込んだ彼は、しろがねに投影する自分を持っていない。彼を憎悪へと突き動かしているのは自分の中の他者であり、彼が失った自分はしろがねや勝の中にこそある。しろがねの心の中(エレベーター)に入ってなお自分を取り戻せぬ彼は、一体どうすれば良いのでしょうね。

関連:
うしおととら(アニメ・原作漫画・小説) 感想リスト

からくりサーカス 感想リスト

からくりサーカス 第1話「開幕ベル」
からくりサーカス 第2話「約束」
からくりサーカス 第3話「奈落」
からくりサーカス 第4話「コラン」
からくりサーカス 第5話「サーカス〜出発」
からくりサーカス 第6話「地獄」
からくりサーカス 第7話「Demonic」
からくりサーカス 第8話「一瞬の始まりと終わり」
からくりサーカス 第9話「記憶」
からくりサーカス 第10話「フランシーヌ」
からくりサーカス 第11話「ファンファーレ」
からくりサーカス 第12話「「顔無し」司令」
からくりサーカス 第13話「ルシール」
からくりサーカス 第14話「夜更けの海」
からくりサーカス 第15話「はじまりの場所へ」
からくりサーカス 第16話「出会い」
からくりサーカス 第17話「訪れし者」
からくりサーカス 第18話「微笑」
からくりサーカス 第19話「影の正体」
からくりサーカス 第20話「黒い太陽」 *感想お休みのため欠番
からくりサーカス 第21話「銀色の女神」
からくりサーカス 第22話「「ハリー」へ向かう!!」
からくりサーカス 第23話「悪魔再び」
からくりサーカス 第24話「脱出へ」
からくりサーカス 第25話「モン・サン・ミッシェルにて」
からくりサーカス 第26話「アニマル・ショウ」
からくりサーカス 第27話「転送(ダウンロード)」
からくりサーカス 第28話「ぶたちゃんはあるいていった」

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