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繋がりも断絶も――「ゲゲゲの鬼太郎(6期)」56話感想


 思わぬところに。



ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第56話「魅惑の旋律 吸血鬼エリート」
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
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 「ゲゲゲの鬼太郎」6期56話を視聴。「見えてる世界がすべてじゃない。」をキャッチフレーズとする6期鬼太郎。今回のそれは「接点」「断絶点」だったように思います。なにせ名前からしてエリートであることを強調してくる吸血鬼と、名前からして小物であることを強調してくるねずみ男の会話を「魂の波長が合う」=接点がある、なんてものから始めるのですからアイディアが振るっています。


 エリートの策謀は始まりからして鬼太郎を視野に入れており、その行動は全て鬼太郎に見えることなく接合していました。そしてそもそも彼がそんなにも鬼太郎を敵視したのは、鬼太郎の出自や過去の行動が知らぬ内に彼のコンプレックスを逆撫ですることに接合していたからでもあります。勝敗を決した偶然の一刺しですら、それまでの行動が遠因として接合されている。全く繋がっているように「見えない」ものが実は接点を持っている。

 一方で繋がっているように見えるものにも断絶点はあり、いかにも吸血鬼と見えたものはねずみ男であったり、エリートとねずみ男の契約報酬は合意されているようで実は金額の認識が違っていたり、更には上流階級に見えたエリートは実は他の吸血鬼とは違うゴミと苛まれたジョニーであったりしました。


 ジョニーはなぜねずみ男を殺すことをためらったのでしょう? シンパシーを感じたからというだけでは不十分なように思います。だって彼はシンパシーを感じたことは自覚していても、誰も信じないという流儀に従って一度は容易く彼を切り捨てたのですから。彼がためらったのは、きっとそれを「幽霊族のエリート」たる鬼太郎にやらせようとしてしまったから。もしそうさせてしまえば、エリートに落ちこぼれが殺される図式になってしまう。その見えない接点が何より、エリートには苦痛だったのではないでしょうか。

 同時に、鬼太郎もまた自分との見えない接点を他者に見出します。今回の依頼人は社長であり、その子供ともども「エリート」。依頼の時は平身低頭の勢いで頼んでいた彼は、いざ息子が助かれば途端に横柄な態度――言ってみれば「鼻持ちならない」態度を取ります。報酬を払うだけよくある身勝手な依頼者よりはずいぶんマシなはずですが、金に対するそのぞんざいな扱いはある意味で、金に頓着せず進んでタダ働きする鬼太郎の逆写しでもある。鬼太郎は彼の姿とそれに対する憤りに、ねずみ男が自分に対して抱く不満に繋がるものを感じたのではないでしょうか。


 同じ場所にいる者と繋がっているとは限らないし、異なる場所にいるものと断絶しているとも限らない。だから鬼太郎はねずみ男との接点を求めて再び彼をラーメンに誘い、ねずみ男は今度はそれに応じます。支払いをどうするかというやりとりがモニャモニャして終わるように、それは簡単に見つかるものではないでしょう。でも、それでも、全然違うように思える相手に手を伸ばし合うことはできるのです。それはきっと、私達だって。


 ジョニーという存在を通してねずみ男の魅力をしっとりと描き、同時に他者への想像力を自然と深めてくれる、とても良い回だったと思います。今回の脚本は5期序盤のシリーズ構成を務めた長谷川圭一さん。おかえりなさい、とっても素敵なお話でした。

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