境目は波打ち際――「どろろ」19話感想
- CATEGORY: Wisp-Blog
- TAG: アニメ_2019年春アニメ

だからいつも悩ましい。
どろろ 第19話「天邪鬼の巻」
どろろ ©手塚プロダクション/ツインエンジン

「どろろ」19話を視聴。正常と異常の境目も、どちらがどちらであるかも実は曖昧なもの。そんなお話だったように思う。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年5月21日
天邪鬼の術は来訪者の百鬼丸達には異常事態を引き起こすが、村人は困っていなかった。術にかかって異常になった村人にも、かからず正常な宗綱父子にも、村の状態は全くの正常だった。言ってみれば違う世界にいたはずなのに、両者は隔てられていなかった。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年5月21日
異常は慣れてしまえば正常として認識されるし、正常は慣れなければ異常と認識される。感動を生んだ百鬼丸の額寄せは乱発されて見飽きた光景になるし、術とは関係なく口の悪かったであろう若者の素直な(正常な)求婚は額寄せより遥かに強くおこわを動揺させる。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年5月21日
今回は全体的にこれまでと雰囲気が違うが、微笑ましい展開もコミカル演出も、他のアニメならけして珍しくないものだ。私達が本作のこれまでに慣れているから異常に見えるだけであって、つまり正常と異常の線引きなんてその程度の曖昧なものに過ぎない。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年5月21日
刀を持たずおこわに振り回される百鬼丸は、仏頂面な少年に過ぎない。ある意味で彼はもう「正常」なのだが、それは彼にとっては「異常」。両腕に刀を仕込んだ異様な状態こそが「正常」なのだ。いや、正常と異常ではなく単に「あちら」「こちら」なのではないか。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年5月21日
あちらとこちらのどちらが正しいかは曖昧だが、個々の冒せぬ領分、自分では越えられない領域は存在する。おこわは若者と仲が悪くなくともはっきり言葉にされねば好意には気付けなかったし、彼女にはどろろと百鬼丸の旅についていくことはできない。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年5月21日
相手が全く自分と同じようにはならぬと認識して、それでも人は他者に自分と重なるものを見つけられる。歩み寄れる。おこわと村人が仲良くしたように。二階からおこわと百鬼丸達が微笑みあえるように。おこわとどろろが百鬼丸の額寄せ乱発を一緒に叱るように。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年5月21日
19話は微笑ましくて好きな場面が多いけども、「百様は悪くないんやよ」とおこわが言い、百鬼丸が「すいませんでした」と謝る場面が特に好きだ。悪くないのと悪いのが歩み寄って、そうして場が丸く収まる。今回の大事な部分が詰まっているように思う。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年5月21日
この和やかな話が、物語の終わりまで平穏無事でにこやかなものにしてくれることはないだろう。それは冒せぬ領分だ。それでも、百鬼丸達の置かれた厳しい状況と今回の話が歩み寄ることはできるのかもしれない。そんな風に感じた回でした。面白かったなあ。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年5月21日
関連:
どろろ 感想リスト
どろろ 第1話 「醍醐の巻」
どろろ 第2話 「万代の巻」
どろろ 第3話 「寿海の巻」
どろろ 第4話 「妖刀の巻」
どろろ 第5話 「守小唄の巻・上」
どろろ 第6話 「守小唄の巻・下」
どろろ 第7話 「絡新婦の巻」
どろろ 第8話 「さるの巻」
どろろ 第9話 「無残帳の巻」 *感想お休みのため欠番
どろろ 第10話 「多宝丸の巻」
どろろ 第11話 「ばんもんの巻・上」
どろろ 第12話 「ばんもんの巻・下」
どろろ 第13話 「白面不動の巻」
どろろ 第14話 「鯖目の巻」
どろろ 第15話 「地獄変の巻」
どろろ 第16話 「しらぬいの巻」
どろろ 第17話 「問答の巻」
どろろ 第18話 「無常岬の巻」

にほんブログ村