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別人の条件――「からくりサーカス」32話感想


 それは「個人」の条件。



からくりサーカス 第32話「暇乞い」
©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン
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 「からくりサーカス」32話を視聴。襲い来るレディー・スパイダーの顔は亡き仲町フサエにそっくりですが、もちろん2人が同一人物のわけはありません。言わば「同じ顔の別人」であるわけですが、今回はそれによって物語が動いていたように思います。もちろん、それはフランシーヌにそっくりなしろがねに限ったものではなく、観念的にもっと広範なものです。

 例えば冒頭、ノリとヒロは勝のこれまでを聞いてすごい奴だと驚くわけですが、勝にしてみれば自分はギイやヴィルマを救えなかった無力な子供に過ぎない。彼の経験は全く同じ顔をしているにも関わらず、見る者によって別人のように変わってしまう。
 例えば鳴海は自分の乗っている列車がオートマータによって運転されていることを知り、途端に猛烈な嫌悪感を覚えます。列車はこれまでと何も変わっていないのに、鳴海にとってはそれは列車への認識を別人のように変えてしまいました。

 二者が別人かどうかは顔が同じかどうかではなく、それを見る者の認識によって決まるものです。かつてお人形であったしろがねは鳴海との出会いによって別人のように変わったと仲町サーカスの皆に認識されている。
 オートマータが芸事を見るとついそちらに注目してしまう習性は、彼らをしろがねだけが対処できる悪魔とは別の存在にしてしまう。
 鳴海が生きていたことや記憶が戻っていたことは勝やしろがねに彼に近づく大きな喜びを与えてくれますが、しろがねの幸せやロケットに乗ったらもう鳴海が戻ってこないことはむしろ大きな隔たりへと繋がってしまう。

 その事実は、オートマータ自身にとっても変わるものではありません。カピタンがどういう行動を取った人形かという評価はハーレクインとブリゲッラの間で別人並みに異なっているし、カピタン自身もフェイスレスの新たな肉体として認識していた勝を今は敵であるとして認識を改めている。
 そして、アルレッキーノ(とパンタローネ)はしろがねのことを「エレオノール様」と呼びました。かつてフランシーヌそっくりのアンジェリーナ人形を別人と認識しながらも従わずにいられなかった彼らは、今はフランシーヌとしろがねが別人であると知りながら自ら忠誠を誓っている。「同じ顔の別人」を認識し、己を保ちながら己を作り変えた2人の姿は、「しろがね」達が自らを取り戻していったのと等しい価値を持つものなのでしょう。見てるかドットーレ……お前の意志は2人が成し遂げてくれたぞ……

 敵であった時の彼らとは「同じ顔の別人」であることを認識したしろがねは、求められた言葉を変えるのではなく付け加えることで2人を送り出します。彼らの、そして仲町サーカスの次回の演目に待ち遠しい気持ちにならざるを得ません。楽しみです。

関連:
うしおととら(アニメ・原作漫画・小説) 感想リスト

からくりサーカス 感想リスト

からくりサーカス 第1話「開幕ベル」
からくりサーカス 第2話「約束」
からくりサーカス 第3話「奈落」
からくりサーカス 第4話「コラン」
からくりサーカス 第5話「サーカス〜出発」
からくりサーカス 第6話「地獄」
からくりサーカス 第7話「Demonic」
からくりサーカス 第8話「一瞬の始まりと終わり」
からくりサーカス 第9話「記憶」
からくりサーカス 第10話「フランシーヌ」
からくりサーカス 第11話「ファンファーレ」
からくりサーカス 第12話「「顔無し」司令」
からくりサーカス 第13話「ルシール」
からくりサーカス 第14話「夜更けの海」
からくりサーカス 第15話「はじまりの場所へ」
からくりサーカス 第16話「出会い」
からくりサーカス 第17話「訪れし者」
からくりサーカス 第18話「微笑」
からくりサーカス 第19話「影の正体」
からくりサーカス 第20話「黒い太陽」 *感想お休みのため欠番
からくりサーカス 第21話「銀色の女神」
からくりサーカス 第22話「「ハリー」へ向かう!!」
からくりサーカス 第23話「悪魔再び」
からくりサーカス 第24話「脱出へ」
からくりサーカス 第25話「モン・サン・ミッシェルにて」
からくりサーカス 第26話「アニマル・ショウ」
からくりサーカス 第27話「転送(ダウンロード)」
からくりサーカス 第28話「ぶたちゃんはあるいていった」
からくりサーカス 第29話「しろがねのやったこと」
からくりサーカス 第30話「Pieta」
からくりサーカス 第31話「黒の流星」

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