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居場所を求めて――「ゲゲゲの鬼太郎(6期)」59話感想


 それなくしては生きていけないの。



ゲゲゲの鬼太郎(6期) 第59話「女妖怪・後神との約束」
©水木プロ・フジテレビ・東映アニメーション
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 「ゲゲゲの鬼太郎」6期59話を視聴。今回は、引っ越しの荷解きを終えたばかりの女性が失踪する場面から始まります。新しい部屋は彼女にとって新しい居場所であり、そして彼女の部屋には引っ越し祝ではない、そこを居場所とする理由の見つからないサボテンが送られていました。そういった意味から、この話は「居場所」を巡るものであったように感じました。

 「居場所」というのは必ずしも居住する場所だけを指すものではなく、根拠や心の拠り所といった意味にも捉えることができます。例えば鬼太郎は相談をくれた男性になぜ妖怪絡みと考えたのか根拠を尋ねますし、まなは鬼太郎に諭されても逃げないのは「雅が自分に助けを求めたから」だと説明することで残留することを認めさせました。これはどちらも居住とは違う意味での「居場所」です。出て行けと脅す女妖怪に対してサボテンはなんなのか、というのも論理的な意味での居場所ですね。

 そして、今回登場する後神は何重にも居場所を失った存在です。住んでいた山という居場所を失い、愛する三田村との待ち合わせの居場所を見失い、ねずみ男に話す動機はもはや破綻していて論理的居場所すら失っている。「ここは私の家だから出て行け」と人々を脅す彼女が、実は劇中で誰よりも居場所を求め、誰よりもそれを得られていない。


 三田村が自分を騙していたことを知った後神は彼を別の形で自分のものにしようとして鬼太郎に止められ、三田村は後神に襲われたくなければ二度と結婚詐欺をしないよう釘を刺されるわけですが――この場面は、見方を変えれば後神はそれをする許可(つまり論理的な居場所)を得ているものだとも言えます。「結婚詐欺をもうしないと約束してくれなければ後神を止めない」というのは、「約束を破ったら後神は三田村に何をしてもいい」ということと表裏一体なのですから。
 三田村は性懲りもなく結婚詐欺を働きます。彼にとって結婚詐欺とは、根っからやめられない自分の居場所なのでしょう。そしてそれは必然的に、後神に先述した行動を取る論理的な居場所を与えてしまう。かくて結婚詐欺師は、たどるべき末路という居場所に落ち着いたのでした。
 原因も動機も見えない失踪事件から始まった59話は、それらが全て見えるようになりあるべき居場所にたどり着く形で終わりました。論理的にはハッピーエンドですらあることが、今回のお話の最大のホラーと言えるのかもしれません。

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