かけがえのないもの――「どろろ」22話感想
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ばらばらだったものを「縫い」合わせるように。
どろろ 第22話「縫の巻」
どろろ ©手塚プロダクション/ツインエンジン

「どろろ」22話を視聴。百鬼丸が生まれた時のことを述懐する縫の方を見て、彼女は母であることを「奪われた」のだと感じた。そして、奪われたのは彼女だけではない。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年6月11日
今回の話では、多くの人が奪われた者であることが丹念に描かれていく。多宝丸は陸奥を救う機会を奪われたこと、その姿を見る許しさえ奪われたことに憤る。襖を通して描かれるのは、百鬼丸と同じ視界。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年6月11日
百鬼丸もまた、自身の肉体に加えてどろろを「奪われた」ことに怒りを強める。彼をおぶるミドロ号は、新たな母親だ。奪われたことに対する怒りを共有し肯定し、燃え上がらせる母親。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年6月11日
鞘たるどろろを奪われて百鬼丸の鬼神の炎が外にあふれ出るように、奪われることは剥がれることであり、内なるものがあらわになることだ。陸奥と兵庫は今生の別れを覚悟するにあたって、普段のやり取りを剥がれ姉と弟を取り戻す。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年6月11日
縫の方も上着を脱いでどろろを追いかけ、櫂を漕ぐこともない身を次々剥がれて個たる人となっていく。その過程は同時に、己の望みがなんであったかを取り戻す過程でもある。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年6月11日
それはつまり、他のもので埋め合わせることが拒絶されるということだ。助けてもらったと伝えることを止められたどろろは、縫の方のそれまでを百鬼丸に直接言うよう促す。自分では止められない百鬼丸の鬼神の炎も、縫の方なら止められるのではと考える。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年6月11日
また陸奥は百鬼丸の代わりに自分の身を捧げようとするが、鬼神はその埋め合わせを拒絶する。それらは全て、百鬼丸が本物の自分の体を求めるのと同じことだ。そしてどろろは聞き及ぶ百鬼丸の凶行を少しでもマシなものに置き換えようとするが、現実はそれを拒絶する。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年6月11日
再び対峙する百鬼丸と多宝丸主従は、ばんもんの時のようにどちらもが持っている正しさをぶつけてはいない。どちらもが持っている間違いをぶつけている。それが、これまでの出来事があらわにした2人の内なるものだった。(続)#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年6月11日
かくて再び、ろくでもないものばかりが似通ってしまう。光を求めて光の無い闇に突っ込んでいくような物語は、残り2話でどんな終わりを迎えるのだろうか。ただ笑顔で終えられる結末の余地など、残っているのだろうか。#どろろ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年6月11日
関連:
どろろ 感想リスト
どろろ 第1話 「醍醐の巻」
どろろ 第2話 「万代の巻」
どろろ 第3話 「寿海の巻」
どろろ 第4話 「妖刀の巻」
どろろ 第5話 「守小唄の巻・上」
どろろ 第6話 「守小唄の巻・下」
どろろ 第7話 「絡新婦の巻」
どろろ 第8話 「さるの巻」
どろろ 第9話 「無残帳の巻」 *感想お休みのため欠番
どろろ 第10話 「多宝丸の巻」
どろろ 第11話 「ばんもんの巻・上」
どろろ 第12話 「ばんもんの巻・下」
どろろ 第13話 「白面不動の巻」
どろろ 第14話 「鯖目の巻」
どろろ 第15話 「地獄変の巻」
どろろ 第16話 「しらぬいの巻」
どろろ 第17話 「問答の巻」
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どろろ 第19話 「天邪鬼の巻」
どろろ 第20話 「鵺の巻」
どろろ 第21話 「逆流の巻」

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