背中を守る者、背中から撃つ者――「からくりサーカス」34話感想
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それを決めるのは。
からくりサーカス 第34話「背中を守る者」
©藤田和日郎・小学館 / ツインエンジン



「からくりサーカス」34話を視聴。「背中を守る者」という副題の通り鳴海と勝の共闘が着くべきところに着いた喜びがありますが、それが指すのは必ずしもこの場面だけではなかったように思います。
ハーレクインに血だらけにされながらもしろがねが鳴海を守ろうとしたのは、それが自分の役割と任じているのと同時に彼がたくさんの思い出をくれたからでした。
ブリゲッラに歯が立たない鳴海が彼のミサイルに逆転の方法を思い出したのは、かつて師に劈拳の突き出した腕はミサイルの発射台と教わったからでした。
カピタンに正攻法では勝てない勝を勇気づけたのは、かつての鳴海の言葉であり、また正二の記憶と思い出でした。
過去は常に後ろにあり、前には存在しない。後ろにあるというなら、それは背中にある。過去に助けられて前に進めたのなら、それは過去が「背中を守ってくれた」ということです。これまでにないほどの数に囲まれた鳴海の背中を勝が守れたのもまた、鳴海自身の過去の行動がきっかけとなったものでした。
同時に今回の話は、過去の糸に操られることを拒絶する回でもあります。空想の過去で自分空虚を埋めずにおられないカピタンや、アルレッキーノとの戦いでのミサイルの快感が忘れられなかったブリゲッラは前を向くことができず打倒されました。鳴海は、自分が宇宙に行かねばならなくとも積極的に前に出ようとするという意味で過去に縛られない一方、自分が「しろがね」であることにどんどんと縛られてきました。
勝だけが、少年である彼1人だけがそれにピリオドを打つことができる。フウの計画に含まれていなかった彼は正しく過去に縛られない存在であり、それは鳴海の背中を守る存在になる力を秘めもすれば、背中からカメラのフラッシュを焚いてシャトルに乗るのを妨げる力ともなる。ここから先に起こるのは、計画を下敷きにした、しかし計画にない出来事。その顛末は、果たしてどんなものになるでしょう。
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