竜の内の竜――「ヴィンランド・サガ」7話感想
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未だ飛べず。
ヴィンランド・サガ 第7話「北人」
©幸村誠・講談社/ヴィンランド・サガ製作委員会

「ヴィンランド・サガ」7話。雇われ兵で軍では浮くアシェラッドの兵団と、その中で更に一人行くトルフィン。自由の中の自由、異質の中の異質。その力は伝説中の生き物の如く。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月19日
数年間続いたデンマーク軍のイングランド侵攻は、しかし王の命とあらば容易く停止する。兵は休息は与えられど、故郷に帰ることは許されない。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月19日
雇われであるアシェラッド兵団はそういったものに縛られないが、彼らには帰る場所もなければ休むための原資を用意してくれる者もない。束縛と安息、自由と労苦は裏返しにある。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月19日
しかし彼らはただ流れる浮き草ではない。餌を求めて飛ぶ渡り鳥などというかわいいものでもない。彼らの行くところには必ず殺戮と略奪があり、その暴威は余人の想像を超える。月夜に見える船首の竜は、アシェラッド兵団の力をそそのままよりも端的に表す。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月19日
竜は縛られることなく飛ぶ。敵も味方も自由に定め、船に陸を進ませ、報酬の定義を自儘にし、行きと帰りの歩みを等しくせず、滝を跳ぶ。
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月19日
そしてアシェラッド兵団は、その身中にも竜を抱えている。誰あろうトルフィン。#ヴィンランド・サガ
トルフィンはアシェラッド兵団に身を置きながら、そこをすら故郷としない。他の面々の目当てである金銀財宝には目もくれず、軍使の役目を果たせば作戦に縛られず兜首を狙い、残敵には目もくれない。弩の戦術を破綻させ1人で大将を討つそれは、竜に等しき力。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月19日
滝を下る船で見られた「跳ぶ」行為はトルフィンにおいて一層顕著だ。単騎ジャバザの陣わ飛び出し川を跳び、柱に短剣を突き立て足場なき道をゆく。戦場を飛燕の如く舞い、兜首を追って川へと飛び込む。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月19日
トルフィンはどこにも属さない。アシェラッドは折に触れては彼が死んでも構わないと公言し、その姿は子供には違いないゆえジャバザ達からは侮られ、敵討ちに固執する姿勢に兵団の者達は理解を示さない。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月19日
それでも、彼らは本当に自由なのだろうか。アシェラッド兵団がこのようなことをするのは冬を越すためであり、またトルフィンは敵討ちに縛られている。彼らは竜のように飛んではいない。跳んでいるに過ぎない。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月19日
軍使の役目を果たしたトルフィンは、まず父の形見の短剣を返してくれるよう頼む。それを敵から奪った剣に持ち替えて戦うのは、短剣を渡した父の言葉の残滓か。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月19日
原作1話的な意味でも「始まった」7話でした。次回が楽しみです。#ヴィンランド・サガ
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月19日
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ヴィンランド・サガ 感想リスト
ヴィンランド・サガ 第1話「ここではないどこか」第2話「剣」第3話「戦鬼」
ヴィンランド・サガ 第4話「本当の戦士」 *簡易感想
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