暗夜を行くように――「荒ぶる季節の乙女どもよ。」8話感想
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その一歩を踏み出せ。
荒ぶる季節の乙女どもよ。 第8話「Legend of Love」
©岡田麿里・絵本奈央・講談社/荒乙製作委員会

「荒ぶる季節の乙女どもよ。」8話。前回は「役」という言葉を用いて感想を書いたが、多くの人が常に演じようとしている役が1つある。「いい子」だ。#荒乙
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月24日
「いい子」は社会関係を円滑に進めるのに必要なロール。体裁、良識、理性etc.……それらは全ての事象を人の想定内に収める力を持ち、波風を鎮める。しかしそれは、人を枠から外してくれなくなる。それは身を守る鎧であり、同時に自分を縛る鎖。#荒乙
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月24日
ゆえに百々子は、悪意を向けられているわけではないからと失礼のないように接してきた杉本に「友達ですらない」とはっきり告げる。あの瞬間、彼女は「いい子」の役を外れた。#荒乙
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月24日
一方、本郷は「いい子」から外れられない。不備のある伝説を作ってしまった責任という言い訳が彼女をそこから出してくれず、ゆえに山岸と富多の年齢的にまっとうな(「いい子」な)やりとりに立ち入ることができない#荒乙
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月24日
和紗は朗読劇をリハーサルに、そして逃げ場をなくそうとしていた。それは「主役」の枠組みを使って自分をはめ込もうとするが故のものだが、同時に演じる他の人間にも「役」を強いる行為でもある。菅原が「役」を、「いい子」を外れたことで、和紗はその負担に目を向けられるようになる。#荒乙
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月24日
伝説に頼らないとは役に頼らないことであり、それは道なき道を進むということ。菅原のその行為に、和紗もまた成功の可能性のほとんど見えない(道の見えない)告白を決意する。#荒乙
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月24日
道なき道を進むのは、曾根崎もまた変わらない。文化祭で恋人まみれにすれば自分達は目立たなくて済む、体裁も崩さず済むというのが曾根崎のプラン(道)だったが、彼女はそれを外れる。一番最初に告白したのは、どう見られても構わないという決意の現れ。#荒乙
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月24日
そして、泉もまた道なき道を進む。今の彼には、「彼女」という感覚が分からない。彼にとって和紗は姉のようでも妹のようでも親友のようでもあって、それを表現する道は未だ見つかっていない。それでも、和紗が大切なことだけは変わらないのだと彼は一歩を踏み出す。#荒乙
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月24日
告白とは道なき道を進むための最後の一歩、そして最初の一歩。恋人という形になった後も道なき道が続くことは、わずかだが曾根崎が既に示している。そう、それは終わりではない。#荒乙
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月24日
道なき道に正解などない。間違った道すら、そこでは正解になり得る。泉が菅原の行動の意味を間違えて捉えた(「いい人過ぎて間違って」)ことは、菅原の進む道を決定したのだと思う。#荒乙
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月24日
菅原の進む道は道なき道、無頼の道。彼女は自分に当てはめていた様々な役を捨てたし、これからも捨てていくのだろう。クールで他人の感情に聡くて優しくて、ミステリアスでサバサバしていて。それを捨てた彼女の前に開けるのは、どんな道なのか。#荒乙
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月24日
握ると安心するのは変わらない手。一方でそれは、それ以外はどのようにも変わり得る手。次回、この先が楽しみです。#荒乙
— 闇鍋はにわ (@livewire891) 2019年8月24日
関連:
荒ぶる季節の乙女どもよ。 感想リスト
荒ぶる季節の乙女どもよ。 第1話 「豚汁の味」
荒ぶる季節の乙女どもよ。 第2話 「えすいばつ」
荒ぶる季節の乙女どもよ。 第3話 「バスガス爆発」 第4話「本という存在」 *簡易感想
荒ぶる季節の乙女どもよ。 第5話 「私を知らぬ間に変えたもの」
荒ぶる季節の乙女どもよ。 第6話 「乙女は森のなか」
荒ぶる季節の乙女どもよ。 第7話 「揺れ、の、その先」

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